レビュー
ナオト・インティライミ | 2011.05.12
やはり、ここ最近のシングル類を聴いてきて、なんとなく"そうなんじゃないかな..."と思っていた予想は的中した。
そう、今回のナオト・インティライミのニューアルバム『Adventure』は、前作アルバム『Shall we travel??』がアルバム1枚でさまざまな国に旅をしているような、まさに疑似旅行を、その歌やサウンドで我々を誘ってくれたものに対し、同じ旅的なタイトルがらも、こちらはもっと時間旅行を思わせる1枚。
歌を中心に、より聴かせる作品になったというか、より胸をキュンとさせる楽曲が増えたというか。とは言え、彼のバイタリティは変わらず、今回収まっている各曲もそれぞれが良い醸造感を漂わせながらも、聴いていて元気になる曲や力を得れる曲が中心となっている。
まるで新しい世界へと誘われる、ワクワクするような胸騒ぎ感たっぷりな「Dreammaker」。エレガントな鍵盤とストリングスの上、男女の別れ際の光景がオーバーラップする「今のキミを忘れない」。ちょっとした勇気と鼓舞を与えてくれる「Brave」。学生時代の友人たちとの楽しい日々へとタイムスリップさせつつ、今の自分の姿との対比を描いた、スキマスイッチの常田真太郎との作詞共作「青春サンポ」。ナオトとリスナーやオーディエンスやファンとの関係性を思わせる「スパイス」。ソカのアッパーで陽気なリズムに乗せられた、一丸性や一体感もワイワイ感がたまらない「おまかせピーターパン」。どこかねっとりとした汗感やセクシーさが漂う「DON-PACHI」。
次の扉を開け、新しい世界のアドベンチャーになろうと促される「Adventure」。"僕たちはいつ大人になったんだろう?"と、今の自分と過去からの道程をじんわりと振り返る「さよならボーイ」。レゲエタッチの裏打ちのリズムながら、ストリングスや歌内容により、逆に感動的でドラマチックな曲調へと転化させた「ありったけのLove Song」。エレガントな鍵盤の音色も印象的。永久の愛を誓うウェディングソング「TOWA」。
こんな毎日だからこそ、笑って前や上を向いて笑って行けば、また道は開けると歌い、釣られ一緒に笑ってみたくなる「ラフラフ」。最後はレゲエの明るく上向きなビートの上、「これが愛の形、これも愛の形」と、シンプルなメッセージが聴き手の胸にゆっくりと広がっていく「愛の形」の全13曲を収録。
あの日、あの時の自分やいつかの自分や想いが、歌われる各曲から現れ、同じ旅でも、インナートリップ的要素もアップした、世界旅行よりは時間旅行の方を思わせる今作。ダンスサウンドが中心であった前作に対し、若干しっとり目。色々なことを思い返し、深いことを考えさせながらも、結局は何か見つかった感や、励まされた感じの楽曲が中心となっている。
今作を通じ、ナオトはまた新しい「冒険」へと我々を誘ってくれる。
【文 池田スカオ和宏】
リリース情報
ADVENTURE【DVD付初回限定盤】
発売日: 2011年05月11日
価格: ¥ 3,334(本体)+税
レーベル: ユニバーサル・シグマ
収録曲
1. Dreammaker
2. 今のキミを忘れない
3. Brave
4. 青春サンポ
5. スパイス
6. おまかせピーターパン
7. DON-PACHI
8. Adventure
9. さよならボーイ
10. ありったけのLove Song
11. TOWA
12. ラフラフ
13. 愛のカタチ
初回盤 DVD
1.今のキミを忘れない」 Music Video
2.「Brave」 Music Video
3.「タカラモノ ~この声がなくなるまで~」
Live @日本武道館