レビュー
YUI | 2011.06.01
まずは、ジャケット写真(初回限定盤)に驚いた。”おーっ、YUIがポニーテールにしている!!”。昨年のROCK IN JAPANにて知り合いから、「YUIがポニーテールにしていた」との情報が入っていたが、今回初めて自分でも確認することが出来た。"に、似合う!"。
いや、そんなことをここで書こうと思ったんじゃない。彼女のニューシングル「HELLO~Paradise Kiss~」の作品内容について語らなくてはならなかったのだ。意外さと可愛さで思わず本懐を忘れるところだった(笑)。
既にテレビ、ラジオ等でバンバン宣伝や彼女の歌声が流れているので、ご存じの方も多いとは思うが、YUIのニューシングルは、タイトル曲の「HELLO~Paradise Kiss~」は、映画『パラダイス・キス』の主題歌。そして、カップリングの「YOU」は、同映画のエンディングテーマとなっている。 いわずもがな、この映画は、あの矢沢あいの人気コミックのムービー化。この楽曲からも、物語の主人公・早坂紫のぐんぐんネクストステージへと進みゆくグローイングアップ感や、小泉譲二らと一緒に、目指すところの<パラダイス>へと走り出して行く光景を思い浮かばせる。
まずは「HELLO~Paradise Kiss~」。プレイボタンを押した瞬間からいつもと違うポップ具合や華を感じる同曲は、ジュークボックス・ロックンロールなビートから始まり、短い小節数からいきなりサビへと誘われ、聴き手をパラダイスに連れていく展開がたまらないナンバー。サビの解放や上昇はまさに楽園にたどり着いたが如くの気持ち良さ。加え、バイオリンのピチカートが厳かさと弾けた感じを演出し、楽曲全体に、このリリース時期にぴったりの初夏のようなスプラッシュさを演出している。
そして、カップリングは、映画のエンドロールにて流れ出すであろう「YOU」を収録。こちらは打って変わり抒情性を帯びた、しっとりと歌われているナンバー。"くよくよすることもあるけど、そんなところで留まっていられないでしょ?"と、聴き手をそっと諭してくれる楽曲だ。ラストにふっと現れるピアノのみで歌われる箇所や、その後のストリングスのアウトロが、きっと映画を見終わった際に劇中のさまざまな場面を思い返させることだろう。
そして、M-3には「It’’s My Life~YUI Acoustic Version~」を収録。こちらはYUIのアコギと歌とピアノ、もう一本のギターのアンサンブルにより、原曲より更に初夏感を増加させている。
話をM-1.「HELLO~Paradise Kiss~」に戻すと。この楽曲のミソは、パラダイスだけでは飽き足らず、その先を目指そうと歌われているところ。この部分が映画の物語のその後や、YUI自身の今後のポテンシャルや目指すところが歌われているように映る。そして、それは聴き手である、私たちにも言えること。
”楽園の先には何が待っているのだろう?”。きっと素敵な光景が広がっているにちがいない。我々もこの楽曲と共に、<楽園のその先>に思いを馳せてみよう。
【池田スカオ和宏】