レビュー
ねごと | 2011.06.22
今年3月発表のシングル「カロン」にて、これまで以上に自身を世に浸透させた、女性4人組ロックバンド、ねごと。ポップでキャッチー、解放感に満ちた同曲に対し、このニューシングル「メルシールーe.p.」は、さしずめ、<ライヴバンド、ねごと>を体現するが如し。彼女たちのライヴにて所どころうかがえた、楽曲の世界観への惹き込みや音の圧倒、そして、独特の感性を持った歌等が、ポップフィールドの中、繰り広げられている。
自分を見つめるように浸らせたり、圧倒的な深淵が横たわっていたり、かと思ったら、急に明るく楽しい場所に誘われたりと楽曲が揃った今作。「メルシールー」や「ビーサイド」は、ライヴでも時々見せるディープさを伺わせるナンバーながら、「メルシールー」は、ラストに向かってゆるやかな上昇感や、力強い決意のようなものを感じるし、「ビーサイド」は、抜き差しやメリハリを活かしつつ、圧倒的な広がりが聴く者を包んでいく。変わって「ランデブー」は、彼女たちのポップ性や親しみやすさ、ワンダーさに溢れながらも、ただの能天気なポップスで終わらせない辺りは、まさに彼女たちの面目躍如と言える。
聞くところによると今作は、7/13発売の1stフルアルバム『ex Negoto』へのエントランス的作品とのこと。まさにそのアルバムに於けるディープさと圧倒さ、ポップさや至福感的内容を予見させるこの作品内容は、同時に<ライヴバンド、ねごと>へのエントランス的な作品となっているのも興味深い。 ねごとの深部にようこそ!!
【池田スカオ和宏】