レビュー
Base Ball Bear | 2011.06.30
7月1日まで全32公演の“SAYONARA-NOSTALGIA”ツアーを敢行中のBase Ball Bearが、ニュー・シングル「yoakemae」をリリースした。今回のツアーでもすでに演奏されているこの曲。そのツアー初日の演奏を録音したCDがライブ会場限定で発売されていたが、当然スタジオ音源化を希望する声が多く、まさに待望のリリースといえる新曲なのである。
10周年第一弾シングルとなる「yoakemae」、シングルとしては「Stairway Generation」以来、実に2年10か月ぶりの作品で、TBSテレビ系「CDTV」6月度オープニング・テーマとしてもオンエア中のナンバーだ。
つかみどころのない不安感を音にしたような、無機質なフレーズの繰り返しからこの曲は始まる。そこに小出(G&Vo)のボーカルが、ひとりぼっちの深夜の情景を描きだしていく。昨日という日の終わりと、明日が始まるまでのほんの数時間の隙間。タイトル通り、夜明け前という時間帯特有の不安定な感じ、未知なる明日に対する気後れ、そして明日へ自分が歩みを進めていいのか、それともここにとどまるのかという迷いの中にいる何とも言えない閉塞感。そんな、夜明け前の揺れ動く精神状態をこの曲は見事に切り取っている。関根(B&Cho)のコーラスも、曲の雰囲気にぴったりの危なげな色合いを醸し出していて秀逸。
曲調はアップテンポでメロディーも親しみやすい仕上がりなので、一度聴いたら耳から離れなくなってしまうという人も多いかも!?
【文:舟見佳子】