レビュー
ソノダバンド | 2011.11.24
このバンドに、ヴォーカリストはいない。だが、歌詞はなくても、歌が聞こえてくる。ドラム、べース、キーボード、ギター、ヴァイオリン、チェロ、6つの楽器が織りなす歌が、確かに聴こえてくる。
ひたすらに楽器を愛し、奏でるのは6人の若者たち。ソノダバンドのメンバーは、1986年前後の日本に生まれた。
そのとき...、20世紀に生まれたポップス、ジャズ、ロック、ラテン、タンゴ、テクノ...それらは「既に」存在していた。
2006年、大学のバンドサークルのメンバーたちで集まった6人は、学祭のステージ(小さな教室)で初舞台を踏んだ。そこから地道なライブを重ね、3年後にはライブ会場で販売した2枚のアルバムが、合わせて10.000枚の売り上げを記録。サマーソニック09への出演、「東京バンドサミット」国内大会一位獲得など、ソノダバンドは大きな転機を迎える。
2010年、ソノダバンドは動き始めた。 3月、アメリカのテキサス州オースティンて?開催された、世界最大規模の音楽ショウケース“SXSW”に出演。鳴りやまぬスタンディングオべーションに、異例のアンコールが許可される。アメリカでの初ライブで手応えを確かめた6人は、プロになる決意を固めた。
帰国後に自らの合同会社Thirdnoteを立ち上げると、10月にアルバム「ルネサンス」をビクターからリリース。 メジャーデビューは大きな話題となり、各種メディアで取り上げられる。激動の年の総決算として12月25日、渋谷Bunkamuraオーチャードホールで「ソノダバンドのHappy Xmas」を開催、大盛況のうちに2010年が終了。
年が明けて2011年1月、SK-II「肌道」のTVCMのイメージ曲として「素晴らしき朝帰り」を提供。
2月、昭和が生んだ最大の歌手、美空ひばりの23回忌を記念して開催された「HIBARI 7 DAYS」(於:世田谷パブリックシアター)に出演。
3月、「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」(於:渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム)の テーマソング、“光、透明、または情熱”を初のシングルとしてリリース。
3月20日からは“SXSW”を含む、アメリカ3都市での公演と、日本国内8都市での『ルネサンスツアーII』がスタート。ツアー終了後にはアルバム・レコーディングが行われ、「疾走(はしれ はしれ)」が完成。
8月から、新たにEMIミュージック・ジャパンとアーティスト契約を交わす。
今回、この「疾走(はしれ はしれ)」をタイトルにしたソノダバンドのメジャー2ndアルバム11月9日にリリース。まさにタイトル通り疾走感あふれる快作となっているので、必聴の1枚である。
音楽の歴史と、音楽の未来へ 世界を舞台に、ソノダバンドは歩いていく。