レビュー

SHINee | 2011.12.15

 SHINeeの快進撃が止まらない。
 6月に「Replay ー君は僕のeverythingー」で日本デビューしてから、「JULIETTE」「LUCIFER」と、3枚のシングルを連続してオリコンのトップ3にチャートインさせるという(しかも2ヶ月おきのリリースという短いスパンで)、海外アーティストとして初の快挙を成し遂げた彼ら。SHINeeが今年の日本の音楽シーンの台風の目になっている、といっても過言じゃないだろう。しかも彼らの活躍ぶりは、もはやワールドワイド。それは、9月に東京ドームで行われた 『SMTOWN LIVE in TOKYO SPECIAL EDITION』に、S.M.エンタテインメントの先輩後輩アーティストとともに参加した後の、彼らの動きに目を向ければよく分かる。ロシアに韓国テレビ番組の企画でK-POPカバーダンス大会の審査員として出向き、シンガポールでは初の単独コンサートを開催。10月には、韓国アーティストたちとのニューヨークでのイベントに参加。再びニューヨークに向かった彼らは、『SMTOWN LIVE』でマジソン・スクエア・ガーデンのステージに立った。その数日後には、名古屋・日本ガイシホールでの単独コンサートを行っているのだ。その間に、韓国でのイベント出演もあり、さらに11月は、イギリスでのライブ、大阪城ホールでの2デイズライブも控えている。

 ハッキリいって常人なら移動だけでも根を上げてしまうだろう。しかし彼らがすごいのは、映像をチェックしてもらえれば分かるが、ここ最近のライブでの歌とダンスのキレっぷり。疲れを見せるどころか、パフォーマンスにさらに磨きがかかっているのには正直驚かされた。それは、彼らのスキル、メンタル、フィジカルがいかに高いかの証明だろう。もちろんメンバー自身も、ファンや回りの人の支えがあってこそ、自分たちがステージで輝けるというのを充分承知している。応援してくれるファンの期待に、感謝の気持ちを持って全力で応える。大歓声に自分たちも高い熱量で応える。いい相乗効果がSHINeeとファンとの間で巻き起こっているのは間違いない。

 そんなSHINeeが、日本デビューイヤーの集大成というべきJAPAN 1ST ALBUM『THE FIRST』を完成させた。音楽シーンにおいて、人気はあっても肝心の音楽がおざなりというケースを目にすることがあるが、そこはコンテンポラリーグループを打ち出す SHINee。歌、コーラス、サウンドと、全くもって妥協の無いクオリティの高い作品を届けてくれた。

「日本でも、多くの方々に愛していただいたおかげでここまで来れました。今回のアルバムは、みなさんの思いを糧に、SHINeeがもう一歩踏み出していくという気持ちを込めたものにしたかったんです」(ジョンヒョン)

「韓国の先輩やいろんなアーティストが日本で活躍してますが、こんなにも早くアルバムを出せるチャンスが与えられたのはほんと うれしいんです。アルバムを作りながら、改めて、日本でほんとに デビューしたんだって実感がわきましたね」(キー)

「日本でデビューしてから今までの活動が、全て詰まったアルバムになったと思います」(ミンホ)

 先にも述べた通り、忙しいスケジュールをぬってのレコーディ ングではあったが、彼らは真摯な姿勢で歌に向かっていった。

「いろいろなスケジュールで忙しかったですが、レコーディングに向けて、しっかり睡眠を取ったり、みんなノドの管理にとても気を使いました」(テミン)
「たくさん水を飲んで、よく寝るのがノドにはいいんです。あと筋 トレもノドには効果的ですね。ただ、管理も大事だけど、やっぱり上手く歌うことへの努力が1番大事。レコーディングではとにかくい い声が出せるように心掛けました」(ジョンヒョン)

 そして、集中した期間にこれだけ多くの楽曲を日本語で録る というのも、彼らにとっては初めてのこと。そうした中で、歌の成長感を実感することもあったという。

「 レコーディンをしながら、前より日本語の歌が上達したと感じたことはありますね。単語のひとつひとつが鮮明に聴こえるようになってきたし、意味をしっかり把握して歌えたんです」(オンユ)
彼らに対して様々な見方があるかもしれないが、やはり SHINeeの根本にあるのは、歌のプロフェッショナルであるという ことだ。

 さてアルバムには、シングル曲はもちろん、ライブでの定番曲 「Amigo」と「The SHINee World」の日本語バージョンが収録され ている。そして、日本オリジナルの新曲が5曲収められているのが 1番の注目ポイントだろう。
 ピアノの旋律が響くトラックの上で、大人になっていく姿を切なくも力強いメロディで歌う「BETTER」。エレクトロサウンドで、永遠の愛、ファンへの感謝をパワフルに歌う「To Your Heart」。笑顔の自分たちがあるのは大切な人たちのおかげ、という気持ちを温か いメロディで届けるミッドチューン「Always Love」。新しい道を歩 き始めるという、彼らの今の思いが込められた明るくポップな「START」。そして、大人っぽい恋愛をクールに歌うR&Bチューン 「Seesaw」と、韓国で発表してきた楽曲ともまた違う、SHINeeの 新たな姿を見せてくれる。

 歌に関していえば、ささやくような繊細さ、伸びやかな力強さ、そして強弱の間を行く柔らかさなど表現力はさらに増し、キーとミンホのラップに関しても、抑揚のバリエーションがより豊かになっているのだ。日韓をまたいで考えると、韓国でアルバム『LUCIFER』が発表されたのは昨年7月。そこから約1年4ヶ月の間に大きく成長した5人の姿が、この『THE FIRST』には詰まっている。メンバー自身も、本作の手応えをしっかりと感じているようだ。
「すごく細部にも気を使ったし、録音も何度もやり直して作っていったんです。日本では初めて、僕らの様々な曲を一度に聴いてもらえるってうれしさがありますね」(キー)
「アルバムを作り終えて、今からがまた新たな始まりだという気持 ちにさせられました。『THE FIRST』というタイトルの通り、改めて 引き締まった思いがします」(ジョンヒョン)
「ファンの方々がアルバムを通じて、僕たちをより深く知ってもら えるというのがすごく楽しみです。SHINeeのいろんなカラーを みなさんに好きになってほしいです」(テミン)
「 いいアルバムを仕上げることができて、とてもうれしいです。今後、もっと様々な姿をみなさんにお見せできると思うし、ぜひこのアルバムを聴いて、これからの僕らの活動を応援してほしいと思います」(ミンホ)
「今回の日本ファーストアルバムは、すごくいい作品になったと思 います。たくさんの皆さんに聴いてもらえたら嬉しいです。また、今後のコンサートが楽しみですね。これからのライブでどういう姿をみなさんに見せられるかなと思うと、すごくワクワクします」(オンユ)

 全12曲(通常盤のみボーナストラックで、激しくダンサブルな 「Stranger」が収録)、異なるカラーの楽曲が並んだ『THE FIRST』 は、日本でデビューしてからの活動ぶり、韓国での歩みも見える ベストアルバム的な側面もありつつ、今までにない新しい楽曲も 収められた、まさにSHINeeの過去・現在・未来が凝縮された作品 といっていい。このアルバムを通じて、SHINeeの音楽がさらに多く の人を魅了していく…そんな予感がしてならない。

【 文:土屋恵介 】

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リリース情報

THE FIRST

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THE FIRST

発売日: 2011年12月07日

価格: ¥ 5,715(本体)+税

レーベル: EMIミュージックジャパン

収録曲

ディスク:1
1. Hello
2. The SHINee World
3. Seesaw
4. LUCIFER
5. Amigo
6. JULIETTE
7. BETTER
8. To Your Hear
9. Always Love
10. Replay
11. START
12. Love Like Oxygen
ディスク:2
1. SHINee JAPAN DEBUT PREMIUM RECEPTION DIGEST MOVIE in JAPAN
2. THE FIRST JACKET SHOOTING SKETCH
ディスク:3
1. Hello
2. The SHINee World
3. Seesaw
4. LUCIFER
5. Amigo
6. JULIETTE
7. BETTER
8. To Your Heart
9. Always Love
10. Replay
11. START
12. Love Like Oxygen

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