THE BACK HORN、9枚目のアルバム『リヴスコール』。個人的な予想として、今回のアルバムは先行シングルとしてリリースされ、当サイトでインタビューを行なった「シリウス」のようなものになるのではないかと思っていた。全身にのしかかる絶望や焦燥に身を切り刻まれることで、生の実感を得るような作品──要するに、かなりヘヴィなものになるのではないか、と。しかし、そうではなかった。『リヴスコール』を聴いて最初に感じたのは“解放感”だった。

　震災という悲劇と対峙し、様々な葛藤の果てに生み出された本作は、彼らのこれまでの作品とは、言葉も音の響きも圧倒的に違う。しかし、根源は何も変わっていない。今そこで脈を打つ“命”について叫んでいる。ただ、その“命”を虚空に向かって叫んでいるのではない。あなたに向かって叫んでいるのだ。＜一点突破で賭けてゆけ／誠心誠意君を想い歌う(ラピスラズリ)＞。『リヴスコール』には、逃げ出してしまいたくなる現実や、抱えたドロドロの感情を、ただ吐き出すのではなく、それをあなたの心の奥深くにまで突き刺そうと暴れ回る“これからのTHE BACK HORN”が刻み込まれている。

　本作を掲げ、THE BACK HORNは怒濤のライヴ攻勢をしかける。夏は各地フェスやイベントに出演し、9月7日からZepp DiverCityを皮切りに全国ツアー「「KYO-MEIツアー」?リヴスコール?」をスタートさせる。台湾、韓国での国外公演を含んだ全35公演、そのツアーファイナルは2013年1月6日、彼らとしては2度目となる日本武道館だ。彼らが巻き起こす“生命の嵐(＝『リヴスコール』)”を、全身で体感して欲しい。

【文：山口哲生】