レビュー
PUFFY | 2012.07.04
7月4日にリリースされる『PUFFY COVERS』は、PUFFYのヒット曲を様々なアーティストがカバーするという、いわゆるトリビュートアルバムのスタンスなのだが、一風変わったユニークな作品になっている。
収録曲は、彼女達のデビュー曲「アジアの純真」をカバーした井上陽水奥田民生を始め、スピッツの「愛のしるし」や、The Birthdayの「誰かが」、吉井和哉の「くちびるモーション」、斉藤和義の「晴れ女」、ザ・クロマニヨンズの「はさんじゃうぜ」など、名前を並べただけで目が眩むような豪華アーティストのオンパレード!
既にお気づきの方もいるかもしれないが、今挙げた楽曲は全てセルフカバー。つまり、かつてPUFFYに楽曲提供をした曲を本人/バンドが歌っているのだ。聴いてみると、まさに楽曲提供者/バンドの世界観なのだが、女性に提供しているということもあり、どことなくいつもとはちょっと違った雰囲気を感じることが出来て、かなり新鮮かつ面白い。
もちろんセルフカバーだけではない。同じく2人組で、それぞれが亜美パート・由美パートに分かれてマイクを取っている真心ブラザーズの「これが私の生きる道」や、完全に曲を自分のものにしている氣志團の「マイストーリー」、楽曲提供しているものの、敢えてこの曲をセレクトしたthe pillowsの「海へと」など、それぞれの個性が爆発しまくっている。
しかし、ここまで錚々たるメンツが、彼女達にこぞって曲を提供するのは何故だろうか。それはきっと、グループ魂がカバーした「渚にまつわるエトセトラ」のコント部分に、カバーされる側にも関わらず参加して、ノリノリで自虐ネタを披露するという(笑)、2人の“おもしろそうだからやっちゃえばいいんじゃない?”と、肩肘張らずに何事も楽しんでしまうスタイルが、デビューから16年経った今も愛され続けているからに違いない。
【文:山口哲生】