レビュー
アルカラ | 2012.07.25
現在ライヴハウスシーンで注目を集めている“自称・ロック界の奇行師”ことアルカラが、7月25日にニューアルバム『ドラマ』をリリースする。アルバムとしては、4thアルバム「こっちを見ている」から約1年振りのリリースとなるわけだが、まず驚いたのは“タイトルがシンプル”ということ。今年2月にリリースしたEPのタイトルは「おかわりください」、3rdアルバムのタイトルは「キャッチーを科学する」である。そんな人を食ったようなインパクト抜群なものが多かったのだが、本作はカタカナ3文字だ。
実際に聴いてみたところ、イントロの攻撃的なギターリフからいきなり心を掴まれる「いびつな愛」や、それに続く「踊れやフリーダ」のリズム隊の暴れっぷりなど、彼ららしいトリッキーで中毒性の高い曲はもちろん収録されている。しかし、リリース前に公開していたリード曲「不完全なキミ」のミュージックビデオのテンションもさることながら、歌詞からも曲からも、どこかシリアスだったり、ダークな雰囲気を受けた。おそらくきっと、彼らの中でもう何をやっても自然と「奇行=トリッキー」になるという自信が既にあり、次の段階──その個性を用いて何を表現するか?という“次なるバンド像の確立”を本作で打ち出そうとしたのだろう。そんな決意や野心を感じさせる意欲作だ。
アルカラの今後のスケジュールは、各地夏フェスへ参戦した後、秋からは『ドラマ』を引っ提げた初の全国ワンマンツアー「ドラマティックあげーるよTOUR」を敢行する。思いっきり某アニメのED曲の1フレーズを拝借しているわけだが(笑)、各公演にサブタイトルのようなものが付いていて、そちらもかなりユーモラス。一度チェックしてみてほしい。ツアーファイナルは11月4日渋谷O-EAST。奇行師のネクストステージを是非感じていただきたい。
【文:山口哲生】