レビュー
ASIAN KUNG-FU GENERATION | 2012.09.05
これがASIAN KUNG-FU GENERATIONだ――あまりにも正面切った言い方だが、2年3か月ぶりのニューアルバム『ランドマーク』を聴いていて、今までの作品の中で最もそう思えた。
後藤正文(Vo&G)だけではなく、喜多建介(G)も、山田貴洋(B)も、伊地知潔(Dr)も、作曲者に名を連ねている。そうやって、メンバー全員で作り上げたところが象徴的だが、今、アジカンがやれることを、惜しみなくやり切っている印象なのだ。
さらに、“みんなが思うアジカン”じゃない、“4人が思うアジカン”をやっているところも重要だと思う。だから、無理もカッコ付けも感じない。丸裸の音と言葉から、4人の生き生きと躍動する表情が見えるようだ。
『N2』(=NO NUKES)をはじめとした数々の楽曲からは、東日本大震災に呼び起こされた素直なメッセージを感じることもできる。とは言え、丸裸=武骨というわけではなく、文学性と音楽性は物凄く研ぎ澄まされている。そこから、彼らがアジカンへ誇りを持ち、さらに高めていこうとしている気概を感じることができる。これは、迷える時代に差し出された、日本を代表するロックバンドが作り上げたランドマーク(目印)だ。
【文 : 高橋美穂】