レビュー

サカナクション | 2013.03.15

サカナクションのニューアルバムのタイトルは『sakanaction』。言わずもがな、自身のグループ名だ。この題の真意は二つある。一つは、これから彼らに接する人たちへの、My First Sakanaction的な作品になるべく、今の自身を詰め込めたとの自負。そしてもう一つは、これまで以上に、メンバー一人一人がより作品を良くするために、今の自身の趣向性を明示し、積極的に参加。全員で作り上げた碑の意だ。

「これまでシングルでしか自分たちを知らない人たちは、きっとびっくりすると思う。だけど、これまで僕たちのライブを体感したり、アルバムを繰り返し聴いてきてくれた人たちは、きっと"攻めてるなぁ"って喜んでくれるんじゃないかな。今の自分たちらしさを非常に出せたし、シングルやタイアップを通して自分たちが発信した<表>に対する<裏>も出せたし。まさに『sakanaction』ってアルバムが出来ました」(ボーカル&ギター : 山口一郎)

「僕と花」「夜の踊り子」「ミュージック」「Aoi」と4曲の大型のタイアップで興味を持った多くの人を更に惹き込み、これまでになかった新しい世界を体感させ、提示する、新感覚さあふれる今作。彼らの表の面であるポピュラリティと、裏の面でもあるリズムやグルーヴ、現代音楽性や構築感のある楽曲が1枚の中に同居し、これが実に今の彼ららしい様相を伺わせる。

「繰り返し聴くことで気づいてくれる良さや色々な発見、好きな曲が増えていったり、変わっていったりする、そんな<楽しんでもらえるアルバム>です。"この人たちは何するんだろう? 次は何が出てくるんだろう"と聴き進める度に思える、そんな作品を目指しました」

増えているヘッドフォンユーザーへのアプローチも意識したと言う今作。とは言え、フロアや自室のスピーカーでも、変わらないグルーヴを体感させてくれるところが心憎い。そんな中、グルーヴに非常にマッチした歌詞も特筆すべきところだ。

「今作はこれまで以上にグルーヴを大事にしたダンスアルバムだと自分たちでは思っていて。だから歌にしても、ほとんど楽器や音感覚。言葉も、"どうすれば、このビートにハマるか?"ばかり考えて乗せましたね。音数もこれまで以上に少なく、歌も必要のないところは、あえて歌詞を乗せずにハミング等にし、みんながそこに自由に歌詞や気持ちを乗せれるようにしてます」

凄くストイックながら非常に聴きやすく、ある種の常習性を擁している今作。聴いているうちにどんどん惹き込まれ、新しい発見をし、繰り返すリピートの末、いつしか大好きな作品になっている、そんな1枚だ。そんな時、改めて今作のタイトルのビンゴ性に再び出会うのだろう。sakana+action。うーん、言い得ている。

【文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

sakanaction (初回生産限定盤CD+DVD)

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sakanaction (初回生産限定盤CD+DVD)

発売日: 2013年03月13日

価格: ¥ 3,600(本体)+税

レーベル: ビクターエンタテインメント

収録曲

<CD>
01、intro
02、INORI
03、ミュージック
04、夜の踊り子
05、なんてったって春
06、アルデバラン
07、M
08、Aoi
09、ボイル
10、映画
11、僕と花
12、mellow
13、ストラクチャー
14、朝の歌
15、『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』(Ks_Remix)

<DVD収録内容>
初回限定盤の特典DVDならびにBlu-rayにはサカナクションの2012年の活動を記録した
様々な映像や写真データをカレンダー形式で楽しめる「sakanacalender 2012」を収録。

10曲のライブ映像、夏フェス会場でのライブ写真、「僕と花」「夜の踊り子」ミュージックビデオのメイキング、山口一郎自宅、スタジオでのレコーディングドキュメンタリー等となっている。
さらに、Blu-rayにのみMUSIC VIDEO3曲を収録。

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