レビュー
EGO-WRAPPIN’ | 2013.04.16
今、最もクリエイティブな音楽作りをしているユニットのひとつが、EGO- WRAPPIN’だ。彼らはアルバムを発表するごとに様々な色彩を見 せてくれてきた。中でも今回の『steal a person’s heart』は、これまでで最も多彩なアルバムと言えるだろう。特にサウンド・アプローチに関しては、曲を追うごとに、ひとつのユニットの表現の限界を 軽々と越えていく。
オープニングの「水中の光」は、ピアノの単音が不思議なリズムを作り出し、緊張感と懐かしさが同居する独特の世界に心を運んでくれる。続く 「FUTURE」もリズムの遊びが鍵になっていて、EGO-WRAPPIN’の想像力と創造力が唯一無二なことを痛感させてくれる。
一方で「女根の月(メコンノツキ)」は現代芸術家の大竹伸朗を作詞に迎えて、ウッドベースのうねるビートをバックにした、朗読とも言える官能的 な表現が耳に突き刺さる。EGO-WRAPPIN`のパブリック・イメージともいえるブルースを、アップデートしたところに、この多彩なアルバム の真髄があるだろう。
初回限定盤には、傑作カバーが収録されたUSBメモリーがコンパイルされていたりの豪華版。孤高のアーティストとしてのオーラが、ますます眩し いニューアルバムだ。
【文 平山雄一】
リリース情報
steal a person’s heart (初回盤)
発売日: 2013年04月10日
価格: ¥ 10,000(本体)+税
レーベル: トイズファクトリー
収録曲
ディスク:1
1. 水中の光
2. FUTURE
3. AQビート
4. 10万年後の君へ
5. on You
6. ウィスキーとラムネ
7. 女根の月
8. ちりと灰
9. Fall
10. blue bird
11. fine bitter
ディスク:2
1. デッドヒート
2. 天国と白いピエロ
3. BRAND NEW DAY
4. love scene
5. MINNIE THE MOOCHER
6. 下弦の月
7. 想像の美しい世界
8. Sundance
9. Telephone Operator
10. 雨のdubism
11. くちばしにチェリー
12. GO ACTION
13. WHOLE WORLD HAPPY
ディスク:3
1. 女根の月
ディスク:4
1. Speculation