レビュー
赤い公園 | 2013.07.08
ギタリストでありメイン・コンポーザーである津野米咲の体調不良により、約半年の活動休止を余儀なくされるという、ニューカマーにとっては特に大打撃であろうアクシデントを乗り越えて、5月1日に新曲『今更』を配信し、復活祭と称した東名阪ツアーを行った赤い公園。ツアーは全個所ソールドアウトを果たし、彼女たちの代わりはいないことを知らしめたわけだが、このたびリリースされる復活盤『今更/交信/さよならは言わない』は、そのネクスト・ステップ――さらに広い範囲に彼女たちの魅力を届ける重要な一枚である。津野がSMAPの『Joy!!』の作詞作曲を務めたことでも、彼女の才能はメジャーフィールドに響き渡ることが証明されたが、やはりホームである赤い公園では本領が伸び伸びと発揮されている。佐藤千明(vox/key)の艶やかな歌声と、可愛らしいコーラスが軽やかに聴き手を引っ張っていく、ガールズ・バンドの魅力がズルいほどに溢れた『今更』。星空のようにキラキラと輝くピアノのフレーズと優しい歌声が、幻想的な郷愁を引き起こす『交信』。そして、小田和正の『さよならは言わない』の、切なくヘヴィなカバー。作詞、作曲、アレンジ、その他の諸々のセンスに至るまで、平均年齢20歳のみずみずしさと、それが信じられない洗練という両極が見え隠れして、ドキドキさせられる。刺激的なままでポップのど真ん中を進みゆく、新しい存在感から目が離せない。
【文:高橋美穂】