ソロ・デビュー10周年を迎えた吉井和哉がリリースしたDVD/Blu-ray+CD BOX『10-TEN-』が話題だ。

　まずは昨年行なったツアー「.HEARTS TOUR 2012」最終日となった大阪城ホールでの映像を収録したもの。これはプロジェクション・マッピングを使ったステージが吉井の楽曲を更に魅力的なものにする、迫力のある映像が見ものだ。次いで、2013年初頭から始まったツアー「TOUR 2013 GOOD BY YOSHII KAZUYA」の最終日である福島県あずま総合体育館での模様。こちらは程よい大きさの会場ならではの親近感と、福島への吉井の思いも言わずもがなに伝わってくる。このツアーはあまり行ったことのないところを回ったもので、全25カ所のオフショットなどをまとめたドキュメントが、感動的なツアーファイナル・アフター・パーティまで106分。各地の観客のコメントが入っているから、あなたや知り合いの顔が見られるかもしれない。

　ライヴを収録した２作品には、ソロ・デビュー曲「TALI」から最新曲「点描のしくみ」まで入っているばかりか、イエローモンキー時代の曲も数曲あり、吉井和哉自身の歴史を振り返っているようでもある。また、ライヴの２作品に曲のダブりがないのは驚かされる。昨年のツアーから本作に向けてアイディアを固めていたのだろう。

　この他、ＣＤでのライヴ音源には映像と重なるものもあるが、他のツアー先での音源も加えてソロになってからのシングル曲をまとめた『10 YEARS』、イエモン時代の曲も含む『20 YEARS』が入る。豪華な内容に加え、購入者限定のプレミアム・ライヴ「AT THE SWEET BASIL?スイートベイジルの夜?」も発表された。けっこうなヴォリュームの作品だが、充実した内容だけに見応えは十分。後悔させない作品だ。

【文：今井智子】