レビュー
平山雄一 ウィークリーレビュー | 2014.01.15
連載 第8週
新春企画「ベストなひび」
■ベストアルバム 2013
・スピッツ『小さな生き物』
・サカナクション『サカナクション』
・赤い公園『公園デビュー』
『小さな生き物』は、初期のスピッツの持ち味が21世紀スタイルで蘇っていて新鮮だ。それは先の震災が残した傷から再生する際に、スピッツが原点に立ち返って制作に臨んだからだろう。1曲目「未来コオロギ」は、人間の力の及ばぬ出来事を前にしたミュージシャンの正直な心構えが描かれていて、忘れてはならないことを音楽として語り継いでいる。
『サカナクション』はメンバーの才能がガチでぶつかりあって、さらに高い地平にバンドを押し上げた。サカナクションの緊張感あふれる正攻法の“進化”は、昨年No.1。
赤い公園が、ついに全貌を現わした。奇怪な岩が並び立つ海岸線のような、息を呑む迫力がある。そういう岩たちは変な形をしているのに、意外と“人魚岩”とかカワイイ名前がつけられたりすることがある。『公園デビュー』の内容って、そんな感じ(笑)。
■ベストシングル 2013
・奥田民生「風は西から」
・Dragon Ash「lily」
・クリープハイプ「社会の窓」
「風は西から」は、「イージュー★ライダー」に匹敵する爽快なアンセムだ。歌詞もメロディもOT丸出しの、マツダの企業広告ソング。ラストの♪心はいま赤いぜ♪は、奥田民生の郷土愛がどどんとはみ出していて最高!
ジャケット用にひまわりの絵を頼んだら、リリーの絵が上がってきてしまい、それに合わせて曲を作り直したという「lily」は、実に名曲。Dragon Ashのファンだという画家の気持ちをこんなにも素直にすくいとったのは、バンドが常にファンの目線を大切にしているからだ。
クリープハイプ「社会の窓」は、ロックバンドに不必要な羞恥心を爆破し、必要な猜疑心を全開にした快作。だからバンドの快進撃に追い風を吹かせ、大いに笑わせてもらった。
2013年 は相変わらず多くのカバーが発表された。
■ベストカバー 2013
・大橋トリオ「恋人はサンタクロース」『MAGIC』収録
・ハナレグミ「エイリアンズ」『だれそかれそ』収録
・ゴスペラーズ「ロビンソン」『ハモ騒動 ~The Gospellers Covers~』収録
ユーミンのクリスマスソングの名作「恋人はサンタクロー ス」を、大橋トリオがやるとこうなるのねと嬉しくのけぞった。EGO-WRAPPIN’の武嶋聡のコンボジャズ的なブラス・アレンジが、スティ?リー・ダンみたいでメチャカッコいい。
ハナレグミ「エイリアンズ」は、これもまたはなはだしい “改造”(笑)が快感を呼ぶ。「あれ~、この曲どっかで聴いたことある」と思いながらも、キリンジとハナレグミの両方の味がして、一粒で二度おいしい。
R&Bが得意なゴスペラーズは、一方で純粋なJ-POPにも独特の持ち味がある。それがいかんなく発揮されたスピッツ・ナンバーは聴き飽きない。
セルフカバーだが、奥田民生がPUFFYに書いた「マイカントリーロード」もよかったなぁ。
最後に、<ベストイントロ大賞>は、大橋トリオの「マチルダ」に決定。昨年、布袋寅泰がロックギターに対する停滞感を叫んだが、このイントロのギターリフはその危機感を打ち破るグルーヴィーな逸品だった。
次週は、2013年 総括“ライブ編”をやりますっ!
新春企画「ベストなひび」
■ベストアルバム 2013
・スピッツ『小さな生き物』
・サカナクション『サカナクション』
・赤い公園『公園デビュー』
『小さな生き物』は、初期のスピッツの持ち味が21世紀スタイルで蘇っていて新鮮だ。それは先の震災が残した傷から再生する際に、スピッツが原点に立ち返って制作に臨んだからだろう。1曲目「未来コオロギ」は、人間の力の及ばぬ出来事を前にしたミュージシャンの正直な心構えが描かれていて、忘れてはならないことを音楽として語り継いでいる。
『サカナクション』はメンバーの才能がガチでぶつかりあって、さらに高い地平にバンドを押し上げた。サカナクションの緊張感あふれる正攻法の“進化”は、昨年No.1。
赤い公園が、ついに全貌を現わした。奇怪な岩が並び立つ海岸線のような、息を呑む迫力がある。そういう岩たちは変な形をしているのに、意外と“人魚岩”とかカワイイ名前がつけられたりすることがある。『公園デビュー』の内容って、そんな感じ(笑)。
■ベストシングル 2013
・奥田民生「風は西から」
・Dragon Ash「lily」
・クリープハイプ「社会の窓」
「風は西から」は、「イージュー★ライダー」に匹敵する爽快なアンセムだ。歌詞もメロディもOT丸出しの、マツダの企業広告ソング。ラストの♪心はいま赤いぜ♪は、奥田民生の郷土愛がどどんとはみ出していて最高!
ジャケット用にひまわりの絵を頼んだら、リリーの絵が上がってきてしまい、それに合わせて曲を作り直したという「lily」は、実に名曲。Dragon Ashのファンだという画家の気持ちをこんなにも素直にすくいとったのは、バンドが常にファンの目線を大切にしているからだ。
クリープハイプ「社会の窓」は、ロックバンドに不必要な羞恥心を爆破し、必要な猜疑心を全開にした快作。だからバンドの快進撃に追い風を吹かせ、大いに笑わせてもらった。
2013年 は相変わらず多くのカバーが発表された。
■ベストカバー 2013
・大橋トリオ「恋人はサンタクロース」『MAGIC』収録
・ハナレグミ「エイリアンズ」『だれそかれそ』収録
・ゴスペラーズ「ロビンソン」『ハモ騒動 ~The Gospellers Covers~』収録
ユーミンのクリスマスソングの名作「恋人はサンタクロー ス」を、大橋トリオがやるとこうなるのねと嬉しくのけぞった。EGO-WRAPPIN’の武嶋聡のコンボジャズ的なブラス・アレンジが、スティ?リー・ダンみたいでメチャカッコいい。
ハナレグミ「エイリアンズ」は、これもまたはなはだしい “改造”(笑)が快感を呼ぶ。「あれ~、この曲どっかで聴いたことある」と思いながらも、キリンジとハナレグミの両方の味がして、一粒で二度おいしい。
R&Bが得意なゴスペラーズは、一方で純粋なJ-POPにも独特の持ち味がある。それがいかんなく発揮されたスピッツ・ナンバーは聴き飽きない。
セルフカバーだが、奥田民生がPUFFYに書いた「マイカントリーロード」もよかったなぁ。
最後に、<ベストイントロ大賞>は、大橋トリオの「マチルダ」に決定。昨年、布袋寅泰がロックギターに対する停滞感を叫んだが、このイントロのギターリフはその危機感を打ち破るグルーヴィーな逸品だった。
次週は、2013年 総括“ライブ編”をやりますっ!
【文・平山雄一】