レビュー

つしまみれ | 2014.02.12

連載 第12週
つしまみれ『つしまみれまみれ』


最強のダジャレにマミレろ!

 結成15周年にして、元気いっぱいの3ピース・ガールズバンド“つしまみれ”が、ベストアルバムを出した。その名も、『つしまみれまみれ』。このタイトル、ダジャレと言ってしまえばそれまでだが、つしまみれはダジャレが最大の武器。ダジャレはおやじが連発するものだが、ちょうど世の中が“おやじギャル”とか言い出した時期に、つしまみれが登場したのは偶然ではないだろう。女子バンが普通にインディーズで活動するようになると、そうした世情が反映されるものなのだ。

 僕もつしまみれに初めて関心を持ったのは、「おじいちゃんのおズボン」という曲だった。♪おじいおズボン あたしの大好きなおじいちゃん♪ という歌詞が、どうみても伝説のメタル・ボーカリスト“オジー・オズボーン”にしか聴こえない。しかも、そんな悪魔のオジーをネタにしながら、この歌は♪おばあちゃんのいる天国へ行っちゃった!♪と泣かせるのだった。

 おやじのダジャレはともかく、ダジャレには人の耳を引きつける力がある。あるいは冗談めかして本音を言うときに、有効でもある。「バカ元カレー」は、もちろん“バーモントカレー”と“元彼”を掛けたダジャレの曲。好きだったけど、♪あなたの加齢臭 うけとめる度量はないよ♪ と切って捨てる。ああ、恐ろしい、つしまみれのダジャレ…。

 そんな恐ろしいメンバーとビアホールで呑んだことがある。彼女たちはそこでも本音連発で、インディーズ女子バンの底力を痛感したものだった。つしまみれは、ほとんど自力でアメリカ・ツアーを10回も敢行し、P.A.もないビリヤード場の片隅でライブをやったこともあるという。もちろん乙女なココロはしっかり持っているが、必要以上の依頼心はない。それを“おやじ”と言ってしまうのは、もったいない気がする。おやじのダジャレは周囲の迷惑だが、おじいちゃんに寄せる気持ちは、彼女たちの優しさから出ているからだ。なんでオジー・オズボーンなのかは、意味不明だけど(笑)。

 3ピース・ガールズバンドの先輩としては、GO-BANG’Sが昨年、デビュー25周年を迎えてソロユニットとして復活した。GO-BANG’Sも「ざまぁカンカン娘(ガール)」など、ダジャレソングが得意だった。さて、次なるつしまみれのダジャレのターゲットは一体なんなのか? 新しい都知事あたりをイジってほしいと思う今日この頃でございます。

【文:平山雄一】

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リリース情報

つしまみれまみれ【初回盤】

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つしまみれまみれ【初回盤】

発売日: 2014年02月12日

価格: ¥ 3,500(本体)+税

レーベル: Mojor Records

収録曲

[CD]
1.スピーディーワンダー(新曲)
2.JAGUAR
3.Sex on the Beach
4.UFO FOR YOU
5.エアコンのリモコン-2014年製-(新録)
6.おじいちゃんのおズボン
7.ミから出たサビ
8.ダーウィン
9.脳みそショートケーキ
10.ハイパースイートパワー
11.海老原眞治
12.おちゃっすか
13.ストロボ
14.タイムラグ
15.J-POP
16.空腹と空白
17.グレープフルーツガール
18.まつり
19.バカ元カレー
20.愛の夢

[初回限定盤スペシャルCD]
1.スピーディーワンダー~スローリーワンダーバージョン~
2.新しい世界の夜明けはとりあえずロックとビアで~アー15杯目バージョン~
3.良いテンポです。~下がすっごい良い!バージョン~
4.うめうまいタネデカイ~完熟梅バージョン~
5.ママのうた~最初のママバージョン~
6.マンホール~部室RECバージョン~
7.若い猫は本当はやさしい生き物じゃない~2000年 千葉大祭 ライブ~
8.淹れたておちゃっすか~2001年 千葉大学「サークルの日」ライブ~

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