レビュー
ボールズ | 2014.07.09
昨年10月にリリースされた1stミニアルバム『ニューシネマ』がアジカンの後藤正文に絶賛され、タワーレコード、HMVを中心にロングセールスを記録。さらにスペースシャワー列伝、ROCK IN JAPAN FES.などのイベントに次々と出演を決め、現在もライブのオファーが殺到中。そして、アルバム『スポットライト』とともについにメジャーシーンに進出――いま、もっとも注目すべきニューカマーと言って間違いないだろう。
関西在住の5人組バンド、ボールズ(4月24日をもってバンド名を「ミラーマン」から 「ボールズ」に変更)。2013年頃から大阪を中心に注目を集め始めた彼らの最大の特徴は、音楽の豊富な知識――70年代シティポップス、80年代UKネオアコースティック、90年代の渋谷系――などと高いソングライティング能力を駆使しながら、普遍的な魅力を持った日本語のポップスへと導くセンスだろう。実際、メジャーデビュー作となる『スポットライト』にも、優れたポップチューンが数多く収録されている。叙情的なメロディと洗練されたアンサンブルを融合した「通り雨」、アコースティックな手触り、極上のポップ感覚を併せ持つギターサウンドを軸にした「渚」、ソウルフルなビートのなかで大好きな女の子への気持ちをストレートに歌う「SING A SONG GIRL」、ドラマティックな旋律とともに瑞々しい恋愛感情が描かれる「スポットライト」。ノスタルジックな風景と生々しい情感が溶け合うようなリリック、切なさと力強さを同時に感じさせてくれる山本剛義のボーカルも強く心に残る。
9月には『スポットライト』リリースを記念したワンマンライブを東京・下北沢SHELTER(9/19)、大阪・心斎橋 Pangea(9/26)で開催。この先、数々の名曲を生み出すであろうボールズの新たなスタートをぜひ、あなた自身の目と耳で確かめてほしいと思う。
【文:森 朋之】