レビュー
シーナ&ロケッツ | 2014.08.21
シーナ&ロケッツ
『ROKKET RIDE』
ロックの真空パックは、いつも新鮮
先日、ライジングサン・ロックフェスのバックヤードで、SHEENA&THE ROKKETSのメンバーにばったり会った。開口一番、SHEENAと鮎川誠さんは「『真空パック』の記事、どうもありがと」、「素敵に書いてもらって、嬉しかったっちゃ」。去年、結成35周年を迎えたこのバンドは、35年前にYMOの協力を得て制作したアルバム『真空パック』でブレイクを果たす。僕が音楽評論家を始めてすぐに出会ったこのアルバムは、ロックンロールとニューウエイヴをコンバインした、めっちゃカッコいいサウンドでシーンに衝撃を与えた。そのときの記事を憶えていてくれてたなんて、感激!
早速、記念撮影をしていたら、そばに挙動不審(笑)なロッカーがひとり。the HIATUSのウエノコウジが「平山さん、一緒に撮らせてもらってもいいですか?」と声をかけてきた。もちろんオッケー。紹介するとウエノくんは「広島にいた時代から、SHEENA&THE ROKKETSにめっちゃ憧れてたんです」と、目を少年のように輝かせた。鮎川さんもSHEENAも、この対面に大喜び。貴重なショットになった。(鮎川さーん、できたら平山にも写真一枚、送ってくださーい)。
今年7月、SHEENA&THE ROKKETSは18枚目のアルバム『ROKKET RIDE』をリリースした。『真空パック』以来の付き合いのクリス・モスデルや、九州ロックの元祖・サンハウスの盟友・柴山俊之らが提供したリリックの切れの良さはもちろんだが、セクシーなSHEENAの声と単刀直入な鮎川のギターのマッチングが、唯一無二の魅力を一瞬にして醸し出す。僕のお気に入りは「風を味方に」。自然体のロックライフを描く歌詞に、プッシュの効いたビートが絶妙に絡む、風格漂う傑作だ。ウエノくん好みの「Madness City」もカッコいい。8ビートシティ“博多”のトップ・リズムセクション、奈良敏博のベースと川嶋一秀のドラムが繰り出すグルーヴは、さすがとしか言いようがない。
この夜のFRIDAY NIGHT SESSIONでは、ロックンロールを一徹に貫くナイスカップルが話題をさらった。SHEENA&THE ROKKETSは今も、ロックシーンにシャープなヒビを刻み込む。
【文:平山雄一】