レビュー
Dragon Ash | 2014.09.17
Dragon Ash
『Live Tour THE SHOW MUST GO ON Final At BUDOKAN May 31, 2014』
演出過多のJ-ROCKライブシーンに、Dragon Ashがビシッと入れるヒビ
キャリア初となる武道館ライブがDVD化された。それまでDragon Ashは、オーディエンスもバンドもリラックスして楽しめないという理由で、“椅子のある場所”でのライブを行なってこなかった。が、武道館のアリーナをスタンディングにすることで、今回のギグが実現したのだった。
僕はこのライブを観に行ったのだが、当然、焦点は「Dragon Ashが武道館でオーディエンスとどんなコミュニケーションを交歓するのか」ということだった。僕は1階席にいて、周囲の椅子席の人達を間近で、アリーナは見下ろす形で見ていた。スタンド席のオーディエンスは、ほとんどがKjと一緒に歌っていた。アリーナのオーディエンスは大規模なモッシュやダイブを楽しんでいた。つまり、武道館でもいつも通りのDragon Ashだった。
今回のDVDは、そんな様子をはっきりと目にすることができる。というより、“僕が観たかった武道館のDragon Ashライブ”がそこにあった。
メンバーを至近距離で撮り、それぞれのライブ中の心の動きがよく伝わってくる。それ以上に、他のバンドのライブDVDに比べると“オーディエンス”を写すシーンがとても多いのが、このDVDの最大の特徴だ。ステージを見つめる姿、一緒に歌いながら涙している様子、モッシュで上気する表情などが、克明に記録されている。
それはDragon Ash自身がいちばん確認したかった“ライブの真実”だ。また、このライブに来たくても来れなかったファンに、いちばん見せたかった情景なのかもしれない。あるいは、Dragon Ashにあまり関心のない人に“今のDragon Ashの有様”をわかってもらう、最良の方法だ。
だから、これはロックファンのためをいちばんに思ったDVDだと、あえて言いたい。オーディエンスがライブを作り上げる最重要なファクターだと考える、Dragon Ashらしい映像作法だ。それを見せるのに、武道館という会場はとても適していた。
余計なエフェクトや演出を徹底的に排除した、潔い作品だ。だから、演出過多になりがちな最近のJ-ROCKライブシーンに、このDVDは確実にヒビを入れる。特にKjとベースのKenKen、ダンサーのDRI-VとATSUSHIが大暴れする「The Live」は、見ものだぜ!
【文:平山雄一】
リリース情報
[DVD]Live Tour THE SHOW MUST GO ON Final At BUDOKAN May 31, 2014
発売日: 2014年09月17日
価格: ¥ 5,000(本体)+税
レーベル: ビクターエンタテインメント
収録曲
1. Introduction
2. The Show Must Go On
3. Trigger
4. Run to the Sun
5. For Divers Area
6. Life Goes On
7. Neverland
8. Today’s the Day
9. Walk with Dreams
10. Here I Am
11. Blow Your Mind
12. The Live
13. Still Goin’ On
14. Golden Life
15. 繋がり Sunset
16. 百合の咲く場所で
17. Fantasista
18. 静かな日々の階段を
19. ROCK BAND
20. Lily
21. Dance with Apps (Encore)
22. 天使ノロック (Encore)
23. Ambitious (Encore)
24. Viva la Revolution (Encore)
25. Curtain Call (Encore)