レビュー
吉井和哉 | 2014.10.02
ソロデビュー10周年を記念して、2013年12月17日にさいたまスーパーアリーナで行われた『10th Anniversary YOSHII LOVINSON SUPER LIVE』を、約2時間半全26曲、ノーカットで収録したBlu-ray+CD/DVD+CD。YOSHII LOVINSONとは、言わずもがなだが、THE YELLOW MONKEYが活動休止した後、吉井和哉がソロ始動した時の名前である。そして、ライヴのタイトルは、2001年に同会場で初開催され、彼がソロで初めてステージに立つ場となった「ジョン・レノン スーパー・ライヴ」からの引用である。10年という区切りで原点と徹底的に向き合おうと彼自身がしていたことが、今作を見ればわかる。
楽曲は、YOSHII LOVINSON名義で発表されたものが中心。MCで「自分が悪いけど、盛り上がる曲が少ない」と苦笑いしていたが、アリーナ・クラスの会場に轟く、深いほど素直過ぎる言葉と音からは、映像でも物凄いインパクトが感じられた。しかし、これは単純に過去を懐かしむ行為などではないだろう。海外からジュリアン・コリエル(G)、ポール・ブッシュネル(B)、ジョシュ・フリーズ(Dr)の3名に、お馴染み日下部正則(Gt)、鶴谷崇(Key)を迎えたバンドメンバー、そして彼らが繰り出すダイナミックなアレンジ、さらに火が立ち昇った「20 GO」の幻想的なオープニングを筆頭とした壮大な演出、などといった、この日限りのスペシャルな工夫からは、吉井和哉が物語の新章へ向かう為の、大切な行事のように感じられた。MCでも「来年からはスーパー吉井和哉になる」なんて言っていたけれど、あながち冗談ではないはずだ。
バンド時代からユーモアと色気を忘れないまま駆け上っていった、日本において稀有なロックスターである吉井和哉の、最も芯の濃いところを表現していたYOSHII LOVINSON。彼の存在感に改めて敬意を表したくなるライヴである。もちろん、アイコンタクトしながら笑うバンドメンバーや、手をあげて沸き上がるオーディエンスの表情からは、お祭り的な雰囲気も伝わってきて、純粋に一大エンタテインメント作品として楽しむこともできるはず。【文:高橋美穂】
リリース情報
[DVD] 10th Anniversary YOSHII LOVINSON SUPER LIVE
発売日: 2014年10月01日
価格: ¥ 6,800(本体)+税
レーベル: ユニバーサル ミュージック
収録曲
1.20 GO
2.PHOENIX
3.黄金バッド
4.JUST A LITTLE DAY
5.WANTED AND SHEEP
6.RAINBOW
7.CALL ME
8.SADE JOPLIN
9.FALLIN’ FALLIN’
10.SPIRIT’S COMING(GET OUT I LOVE ROLLING STONES)
11.NATURALLY
12.欲望
13.煩悩コントロール
14.恋の花
15.SWEET CANDY RAIN
16.TALI
17.FOR ME NOW
18.MUDDY WATER
19.点描のしくみ
20.ビルマニア
21.WHAT TIME
22.BLOWN UP CHILDREN
23.ノーパン
24.ルビー
25.ALL BY LOVE
26.トブヨウニ