レビュー

ゴスペラーズ | 2015.03.24

 ゴスペラーズが、2014年に開催したシアトリカル<演劇>ツアー『ゴスペラーズ坂ツアー2014「ゴスペラーズの“ハモれメロス”」』。全国9か所で全28公演を行った本ツアーは、タイトルからも想像できるように、太宰治の名作「走れメロス」をモチーフにしたオリジナルストーリーが主軸。ひとつの物語を演技と音楽で綴る、ゴスペラーズ独自のエンターテインメンだ。あえてひとことで言うなら“音楽舞台劇”とでも言えるだろうか。

 ゴスペラーズが、デビュー直後から定期的に展開してきたシアトリカルツアー。本ツアーは、じつに11年ぶりであった。そのツアーの愛知県・刈谷公演の様子を収めたのが、本ライブDVDである。

 これまでは、アカペラスタイルが常だったシアトリカルツアーだが、本ツアーではバンドが入った。ゴスペラーズのライヴでも演奏を務めるゴスペラーズバンドの面々だ。生音での音楽舞台劇なんて、なかなかお目にかかることができないだろう。それだけでも、貴重な映像と言えるのではなかろうか。バンドが入ったことで、過去最高に“歌える楽曲”の幅が広がり、カバー曲が多くなったのが本ツアーの特徴のひとつ。そしてこれが、音楽舞台劇という、ちょっとアングラ(ごめん!)なアプローチを一気にオーバーグラウンドなエンターティンメントに押し上げる結果につながった。ストーリーも、オチも、非常にわかりやすい。過去のシアトリカルツアーと比べても段違いだ。台詞から、ストーリー展開や布石の意図などを考えなくていいから、次々繰り出されるカバー曲や、オリジナル曲が、ストンと耳にそして心に落ちてくる。

 そして、この“わかりやすさ”に頼らない、丁寧なエディットやアイデアが本ライヴDVDの見どころである。例えば“アイデア”については、こんなところ。この物語の時代設定は、テレビがまだ贅沢品だった頃だが、冒頭からモノクロのブラウン管風に見せるコンセプチュアルな演出がある。しかしこの演出をフォローするアイデアもあるのだ。それが、同場面のカラーバージョンが収録されていること。これは、彼らのファンに対するサービス精神の表れだと私は思う。

 また、副音声として収録されたメンバーとヒャダインによる「ゴスペラーズ×ヒャダインによる実況座談会」も必聴。収録曲の楽曲解説など、本ライヴのテーマ=ゴスペラーズのルーツ(含・サークル出身)をじっくり掘り下げている。聞いてて笑う瞬間も、もちろん、多いですよ。うふふ。

【文:伊藤亜希】



ゴスペラーズ 『ゴスペラーズ坂ツアー2014“ゴスペラーズの「ハモれメロス」”Trailer』

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リリース情報

[Blu-ray] ゴスペラーズ坂ツアー2014 “ゴスペラーズの『ハモれメロス』”

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[Blu-ray] ゴスペラーズ坂ツアー2014 “ゴスペラーズの『ハモれメロス』”

発売日: 2015年03月25日

価格: ¥ 8,600(本体)+税

レーベル: Ki/oon Music

収録曲

M 1  ウエスタンカーニバルメドレー
LI’L DARLIN’ ~ ダイアナ ~ 監獄ロック
M 2  くれないの街
M 3  ロコモーション
M 4  上を向いて歩こう
M 5  My girl friend
M 6  哀しきフォーシーズン
M 7  60’sメドレー
SURFIN’U.S.A. ~ ローハイド ~ ベサメ・ムーチョ ~ BLOWIN’ IN THE WIND ~ OUT OF SIGHT ~ MY GIRL ~ PLEASE PLEASE ME
M 8  THE HAWAIIAN WEDDING SONG
M 9  Looking for your love
M 10 どしゃ降り ’64
M 11 Sherry
M 12 くれないの街
M 13 Promise
M 14 ひとり
M 15 HIT ME
M 16 1, 2, 3 for 5
M 17 太陽の5人
M 18 ハモメロメドレー
Love Train ~ 夢伝説 ~ Dance if you want it ~ NO ONE ELSE COMES CLOSE
M 19 Be shiny
M 20 LAZY RAIN
M 21 MOVIE☆STAR
M 22 SING!!!!!

[ ENCORE ]
M 1 3月の翼
M 2 カーテンコール

※2014年11月15日愛知・刈谷市総合文化センターの公演を収録。
※副音声に『ゴスペラーズ×ヒャダインによる実況座談会』を収録。

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