レビュー

キュウソネコカミ | 2015.10.21

連載 第93週
キュウソネコカミ
『人生はまだまだ続く』


ニューアルバムで、“キュウソネコカミはまだまだ続く”ことを力強く宣言する

 おバカなふりして、ほんとにおバカ?と思いきや、キュウソネコカミの3rdアルバムには、輝く言葉が詰め込まれている。ある意味、この『人生はまだまだ続く』は、詩人ヤマサキ セイヤの才能が爆発したアルバムと言えるだろう。

 どの曲の歌詞も、狙いがはっきりしていて、しかも狙いを外さない。その歌詞は、キュウソならではの主人公設定がなされていて、「誰に聴かせたいのか」がはっきりしている。これは、なかなかできそ うでできないことなのだ。

 自分の思っていることをダラダラ書くだけの歌詞や、共感を得たいがためにリスナーにすり寄り過ぎる歌詞が多いのが現状だ。中でキュウソ/ヤマサキの腕は確か。愛すべき“ポンコツたち”のために、ポンコツの自分ならではの人生観を歌にする。特に今回の『人生はまだまだ続く』の歌詞は冴えている。

 娘や嫁から厄介者扱いされるポンコツ親父を描いた「泣くな親父」を皮切りに、ポンコツ・アーティストには「ビーフ or チキン」で♪意味のあるディスだけ選んで聞け♪とアドバイスする。繊細なポンコツには「フラッシュバック」で♪心の傷は治りにくいな♪と慰める。どのポンコツも、ヤマサキ自身と重なっている。

 一方、「NEKOSAMA」は、まんまと猫ファンになってしまったポンコツの歌。ここには理屈もなにもない。理屈のない歌の極致は、皆さんもよく知っている大ヒット「MEGA SHAKE IT!」だ。♪踊りたい あぁ騒ぎたい もう知らない♪と、ひたすらおバカに徹する潔さ!

 グズグズも、ウジウジも、おバカも、悩める者にも、ヤマサキは真っ直ぐにメッセージする。
 ちなみに“ポンコツ”とは、壊れる寸前の機械や人間を指す言葉。アルバムの中心ナンバーの一つ「ハッピーポンコツ」は、♪本人全然その気は無いけれど 周りを笑顔に変えて行くんだ♪と、単純明快に“愛すべき人々”を賛美する。

 だからこそ、アルバムの最後に収められているシークレット・トラックが泣ける。どこかのライブテイクだろうか、ヤマサキが「キュウソネコカミのブルースを聴いてくれるかぁ?」とコメントして歌い出したのは、♪私は歩く 人の上を 穏やかな顔つきで 私は歩く お前の上を 思いやりとマナーを考えながら♪。

 わはははは、人の上を歩くヤツにマナーがあるのかい(笑)。カッコつけず、でも大切なプライドは失くさない。こんなナチュラルなポンコツ、見たことない。
 これは今年のライブで歌われてきた新曲で、音源化が望まれていた。それをシークレットに収めるヤマサキの心意気が素敵だ。そしてこの歌は “キュウソネコカミはまだまだ続く”ことを力強く宣言している。

【文:平山雄一】

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リリース情報

人生はまだまだ続く(初回限定盤)[CD+DVD]

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人生はまだまだ続く(初回限定盤)[CD+DVD]

発売日: 2015年10月21日

価格: ¥ 3,400(本体)+税

レーベル: ビクターエンタテインメント

収録曲

[CD]
1. 泣くな親父
2. MEGA SHAKE IT !
3. イマジネンス
4. ビーフ or チキン
5. NEKOSAMA
6. フラッシュバック
7. 春になっても
8. 記憶にございません
9. ハッピーポンコツ
10. ヤブ医者
11. 適度に武士道、サムライBOYS。

[DVD]
★OTODAMA’15 ~音泉魂~ × キュウソネコカミ
※副音声にはメンバー全員による解説(雑談)を収録!
<収録曲>
ウィーワーインディーズバンド!!
DQNなりたい、40代で死にたい
MEGA SHAKE IT !
ファントムヴァイブレーション
GALAXY
- MC -
ハッピーポンコツ
お願いシェンロン
ブルース
ビビった
- ENCORE -
ありがとうオトダマ
★DOCUMENTARY MOVIE

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