レビュー
QOOLAND | 2015.12.15
QOOLANDは“ダブル・タッピング・ギターの強豪”と思っていたから、1曲目の「Come Together」を聴いて面食らった。ギターは細かいフレーズは弾かず、ひたすら力強くコードを掻き鳴らす。美メロ・ロックの直球勝負なのだ。
“タッピング”とは、弦をピックで弾くのではなく、叩く(タップ)することで音を出すギターのテクニックのこと。音数の多い意外性のあるフレーズが生まれやすい人気のある奏法で、QOOLANDは2人のギタリストがタッピングするスリルを得意技にしてきた。
そのバンドが、リード曲であり、アルバムタイトル曲でもある「Come Together」でストレートなロックを奏でていたのでビックリしたのだ。しかし、完全に封印したわけではない。ちょっとしたギターのオブリガード(注:歌と歌の隙間に弾く短いフレーズ)にタッピングを使っている。それがまた効果的にメロディを盛り上げているのが素晴らしい。
つまりQOOLANDは今回、タッピングを“得意技”ではなく“脇役”として使っているのだ。あくまで主役は歌のメロディで、それを引き立てるためにタップしている。そのお陰で、歌詞のメッセージが前以上に届くようになった。
「イェー、ひと回り大きくなったじゃん、QOOLAND!」と思っていたら、2曲目の「Shining Sherry」はイントロからタッピングの嵐。がははは、変わってねぇじゃん、QOOLAND! でも「きっと、これでいい」と思わせてくれるアルバム全体の出来映えで、2016年のQOOLANDに期待が膨らむ新作となっている。
【文:平山雄一】