デビュー15周年となる記念イヤーを迎えた氣志團が完成した、実に3年9カ月ぶりとなるニューアルバム『不良品』。大ヒット曲となった「喧嘩上等」を始め、「幸せにしかしねーから」、「Don’t feel.Think!!」、仮面ライダーゴーストの主題歌である「我ら思う、故に我ら在り」など最強シングル曲を含む、全18曲収録の大ボリューム作となった今作。デビュー15周年の貫禄と、ロックバンドとしての誇りと変わらぬ攻撃性、多分な遊び心溢れる今作は、氣志團という唯一無二、天下無敵のヤンクロックバンドの魅力が凝縮された一枚。

　「One Night Carnival」をリアルタイムで見ていない世代にも存在を知らしめた「喧嘩上等」で始まり、「氣志團がやって来たオラ！オラ！オラ！」と爆走宣言。今作のオープニングテーマと言える自己紹介ソング「ツッパリHigh School Musical（登場編）」で、改めて作品の幕を開けるこのアルバム。綾小路 翔（Vo）と共に氣志團楽曲を担ってきた、星グランマニエ（Gt）作曲によるセンチでメロディアスな「16歳」、近年の氣志團楽曲で作曲家の才能を存分に開花させている西園寺 瞳（Gt）作曲による腹ペコソング「恋のタラレバ」など、“氣志團＝昭和のヤンキー”のイメージを覆すバラエティ豊かな曲が続いた後は、西園寺がラップに挑戦する「トミーのここまで言って委員会（仮）」で始まるソロ曲が続く。

　今作の大きな特徴は、メンバー各々が作詞作曲を務めたり、ボーカルを取ったりと、全員がかりで作品制作に挑んでいる点。氣志團と言えば、象徴的存在である綾小路に目が行きがちだが、強烈な存在感を放つサポートドラム・叶 亜樹良（Dr）含め、強烈な個性が絶妙なバランスで保たれているバンドであることが今作を通じて再確認出来るはず。

　さらにGIGを想起させる、全編通しての物語性も今作の魅力。各ソロ楽曲の後はインスト曲「族魂-zokkon-」が雰囲気を変え、「幸せにしかしねーから」で実直なメッセージを伝えると、「ツッパリHigh School Musical（出発編）」が本編の幕を閉じる。GIGに例えるとアンコールにあたる17曲目で、アコギの乾いたサウンドに乗せて、綾小路が感情たっぷりに歌うのは、バラードソング「不良品」。デビュー15年、“終わらない放課後”と歌い続けながらも、永遠が永遠でないことを感じ始めている今の気持ちを真正直に歌うこの曲に、「でも、歌い続けるしかねぇんだよ！」という強い覚悟を感じた僕はこの先、氣志團がいつか必ず辿り着くであろう、“ピリオドの向こう側”と呼ばれる、まだ誰も見ぬ地平を想像していた。2月より始まる、今作を掲げた全国ツアーも楽しみで仕方ない。

【文：フジジュン】