入手困難となっていたインディーズ時代の4作品、『KTEP』シリーズを1枚にまとめた本作。こうしてメジャーデビュー前の曲の数々を一気に聴いてみると、KEYTALKの音楽性が確立されていく過程が非常によく分かる。初期はツインボーカルのコンビネーションの組み立て方やサウンドの方向性に関していろいろ模索していたことが窺われる。全人類を踊らせずにはおかないダンサブルさ、涙腺を絞り上げる瑞々しい叙情性、歌メロ＋ギターの裏メロによって醸し出す猛烈なドラマチックさなど、彼らの必殺技をマスターするまでの様子を捉えた『KEYTALK武者修行物語』とでも言うべき作品だ。

　そして、“お祭り”をモチーフにした曲を時々形にする巨匠ならではの作風の萌芽を感じる「祭りやろう」。このバンドが人気者になっていったのも当然だったなと納得させられる義勝が作詞作曲をした「太陽系リフレイン」の名曲としての存在感。洗練されたオシャレさとハジケたフレーズを巧みに使い分ける武正の華麗なギタープレイ。リスナーのウキウキと鮮やかにシンクロし、ワクワクを果てしなく加速する八木のハイハットの魔術師ぶり……初期から4人が持っていた素敵な原石も随所で確認できる。

　ボーナストラックとして収録されている「MABOROSHI SUMMER」の別バージョンも、とても興味深い。約60分に亘るレア映像が収録されている付属DVDも要注目。とにかく盛りだくさんの作品だ。まだ少年っぽさが残っている初期のビジュアルや歌声などが、こうしてまた世に出るのはメンバーとしては照れくささもあるだろうが、最高のファンサービスになっていると思う。KEYTALKを語る上で欠かせないアイテムの1つとなるはずの『KTEP COMPLETE』、ぜひ手に入れておきたい。

【文：田中大】

• KEYTALK Official HP

• KEYTALKの巨匠（Vo＆Gt) のコラム連載『熊本。日本。そして、世界の巨匠へ』