レビュー
Charisma.comとRYO-Zお兄さん(RIP SLYME) | 2016.10.19
Charisma.comとRYO-Zお兄さん(RIP SLYME)「ハロートゥモロー/ゴマムー」
オフビート・アニメにはオフビートOLのCharisma.comがよく似合う
4月から20年以上ぶりに始まった「少年アシベ GO!GO!ゴマちゃん!」を見て、「ゴマちゃーん!」と思わず懐かしさのあまり叫んでしまった。でもよく考えてみれば、23年ぶりのアニメ再開だから、「少年アシベ」のことをよく知らない音楽ファンも多いんじゃないかな。
しかし、そんな心配は無用。「少年アシベ」に登場するヤツラは2010年代でもかわいいし、超魅力的。エンディング・テーマ「ゴマムー」に起用されたCharisma.comとRIP SLYMEのRYO-Zが繰り出すカッコいいラップとトラックが、ぴったりハマる“不滅のキャラクターたち”なのだ。4つ打ちのトラックにはズシンとくるパワーがあり、シンプルなウワモノはスピード感たっぷり。そこにCharisma.comとRYO-Zのクールなラップが乗ってくる。
いつかのリリックは、ゴマちゃんへの愛情がたっぷりで、いつもの皮肉やいたぶりが影をひそめているところが面白い。90年代に現われた「少年アシベ」というオフビートのアニメが、いつかのツボにハマったのか。だが、こんないつかも悪くない。ゴマちゃんパワー、恐るべし。
一方でRYO-Zのリリックはあちこちに仕掛けが備えられている。♪わかんなかったら駅前の場♪ってフレーズは、今回、歌詞カードを見るまでは、♪駅前ノバ♪って聴こえてた。NHKの番組なのによくやるなと思っていたら♪の場♪だったのだ。でも♪ジャイアン♪は明らかに別のアニメのキャラだと思うんだけどなあ。このたわいのない掟破りもまた、「少年アシベ」がRYO-Zに与えた影響なのか。
いつかの♪あっと驚く斜めの目線で いい子悪い子も手の鳴る方へ♪ってフレーズ、好きだなあ。RYO-Zの♪しつこいいじめっ子にアップロック♪ってフレーズ、素敵だなあ。このエンディング・テーマ曲にCharisma.comとRYO-Zを起用したキャスティングが大成功を収めている。
オフビート=常識からちょっと外れた感覚はヒップホップと相性がいいが、オフビート・アニメにヒップホップがこれほど似合うとは思ってもいなかった。
水曜日のカンパネラをはじめ、今、ジャパニーズ・ヒップホップに次々と“発明”が起こっている。この「ゴマムー」も、発明の一つにぜひ数えたい。それにしたって、やっぱりすごいのは、ゴマちゃ-ん、なのかも!
【文:平山雄一】
リリース情報
ハロートゥモロー / ゴマムー
発売日: 2016年10月19日
価格: ¥ 1,400(本体)+税
レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン
収録曲
M-1ハロートゥモロー
M-2ゴマムー
M-3『ゴマちゃんとろんちゃんを探せ!』(オリジナルドラマ)
M-4ハロートゥモロー(inst)
M-5ゴマムー(inst)