レビュー

ミオヤマザキ | 2016.11.01

 時代を写し出す鏡、感度の高いミュージシャンによる自己表現は社会の動きと密接だ。11月2日(水)リリース、ミオヤマザキ初のフルアルバム『anti-these』(読み方:アンチテーゼ)の、カオティックに濁った世の中をバッサリと切りまくるポップミュージックで奏でられた“言葉の力の強さ”に注目したい。


ユニークなのが、購入者の趣味趣向に合わせて、いわゆる「問題作」「正体作」「優良作」「お買い得なヤツ」盤など4種形態で曲順や選曲を変えてリリースしていることだ。社会性、話題性、価格配慮など、趣味趣向に合わせて多様性への配慮がなされているのだ。2,000円という「お買い得なヤツ」盤ではエッジーな新曲を中心に全10曲、「問題作」「優良作」「正体作」盤では、DVDや詩集、フォトブックが特典されるなど、配信やライブで人気ナンバーを含めそれぞれ5曲ずつ追加され全15曲を収録されている。

そもそも、昨今のアーティスト&芸能人不倫問題をいち早く楽曲にして問題定義したのはミオヤマザキだった。人気AV女優、有村千佳参加によるミュージックビデオ「民法第709条」は公開後話題となり、良識ある方々からのうがった指摘の結果、自主規制の末に公開中止へと追い込まれた。今回、DVD付きの初回限定盤『anti-these~問題作~』盤には収録されているので、ゲーミフィケーションな演出展開が興味深い、練りに練られた映像美を是非チェックしてみて欲しい(※下記動画はライブ・ヴァージョン)。


さらに、アルバムでは“バンドマンあるある”をリアルに刺激的に歌い上げていく楽曲「バンドマン」をリプロダクションして収録。配信されたヴァージョンからさらに進化した内容にレベルアップ。物議を醸し出すこと間違いない強力にロックでありパンキッシュなナンバーだ。本作で気がついて欲しいのが、今年『サマーソニック2016』にも出演など、フェスシーンにも対応するミオヤマザキのロックな楽曲制作能力の高さと、演奏力の高さだ(※下記動画はオリジナル・ヴァージョン)。


いまの時代にシンクロするように、情報量のとにかく多い4人組ロックバンド、ミオヤマザキは現役キャバ嬢のヴォーカリストmioによる「男性は心拍数が上がり、女性は皆共感する」恋愛の陰を描いたリアルな歌詞が、ミオラーと呼ばれる熱狂的な10代、20代女子ファンの支持を集めていることに注目したい。経験値の高い、コミュニケーションに長けた表現者ほど無敵な存在は無いだろう。

ミオヤマザキは、アーティスト写真を一切公開していない。ゆえにインターネットで検索しても見つけることは出来ない。ライブでしか姿を観れないのが、飢餓感を煽っていることに間違いない。そんなライブ会場には、それこそこれまでライブに足を運んだことの無いような女の子達が集まり、歌詞がフィーチャーされたリリックビデオと絡み合うように、顔出しNGのスポットライトの当たらないメンバーによるヘヴィな熱演で、独自の世界観を構築する圧倒的なライブが繰り広げられている。

そんなミオヤマザキは初のフルアルバム『anti-these』発売直前に、精神不安定なメンヘラ世界観を最新のデジタル技術で体験できる世界初のバーチャル・ミュージアム『メンヘラバーチャルミュージアム』をハロウィン期間に開催した。3Dプロジェクション・マッピング、仮想現実=VRなライブ企画、対話型人工知能=AI“メンヘラ彼女 ミオ”でのチャット会話など、株式会社博報堂アイ・スタジオの社内横断組織「Creative AI研究所」によるHACKistとのコラボ作品が強烈だった。

……書きたいことが多すぎて、あっという間に字数を500字も超えてしまいましたw 以上、ミオヤマザキに要注目なのです!!!

【文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】

リリース情報

anti-these

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anti-these

発売日: 2016年11月02日

価格: ¥ 1,852(本体)+税

レーベル: EPIC Records Japan

収録曲

1. 聞けない理由
2. 正義の歌
3. オカルティック69
4. シブヤノウタ
5. Hのすゝめ
6. 民法第709条-Album Mix-
7. 死ニDIE
8. バンドマン feat.GASHIMA from WHITE JAM
9. 生きる
10. 最初歌最期日

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