レビュー
東京カランコロン | 2017.01.31
shibuya eggmanの「murffin discs」内に新たに生まれたロックレーベル「TALTO」からリリースされるワンコインシングル『トーキョーダイブ』。昨年の東京カランコロンは、2枚組のアルバム『noon/moon』をリリースした後、日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブを行った。その後もライブ活動はしていたし、野音限定のワンコインシングル『つよがリズム/ヴァージニアだったっけ?』もあったが、本格的な音源のリリースはかなり久しぶりとなる。
今作に至るまでの期間は、「東京カランコロンとは何なのか?」ということをじっくり見つめるための機会となったらしい。先日、いちろー(Vo・G)とせんせい(Vo・Key)と会って話をしたのだが、スタジオ練習がいつの間にかメンバー同士の意見の交わし合いとなることも度々あったのだという。シリアスなムードも漂った中、今までだったら意見を表に出すことがあまりなかったおいたん(G・Cho)、佐藤全部(B)、かみむー氏(Dr)が、包み隠さずに気持ちを伝えてくれたことが、バンドにとって救いになったと、いちろーとせんせいは言っていた。
壁にぶつかった期間を乗り越えて、今の彼らはどのような気持ちでいるのか? それは今回のタイトル曲「トーキョーダイブ」を聴けば、よく分かると思う。耳を傾けていると伝わってくるのは、「自分たちは何者なのか?」「どこにいるのか?」「何に向かっているのか?」という自問自答の日々を経て、力強く前進しようとする姿だ。何度も繰り返される《ダイブするんだ》という言葉が、とても気持ちいい。
いちろーとせんせいの歌声のコンビネーションが存分に活かされているのも印象的だ。ツインヴォーカル編成でありながらも、これまでの東京カランコロンの曲は、どちらか一方の歌声をメインに据えることが多かった。しかし、この曲に関しては2人の歌声が交わされることによって生まれる起伏に富んだドラマ、爽やかなハーモニーを存分に際立たせている。そして、各楽器の多彩なフレーズが曲全体に添えている華やかなムードも聴き処だ。自分たちのサウンドの可能性も改めて見つめ直し、精一杯に鳴り響かせているのが、この「トーキョーダイブ」という曲なのだと思う。
昨年の11月に行われた『ランチにお得なインディーズ縛りライブ「いっとく?」』の模様もカップリングに収録され、充実した内容となっている今回のシングル。ここから東京カランコロンがさらにどんな展開を見せるのか、とても楽しみだ。
【文:田中 大】
リリース情報
トーキョーダイブ
発売日: 2017年02月01日
価格: ¥ 500(本体)+税
レーベル: TALTO
収録曲
1. トーキョーダイブ
2. ランチにお得なインディーズ縛りライブ「いっとく?」全曲収録音源