レビュー
WEBER | 2017.02.07
ダンスチーム“KoRock”のメンバーとして活動、数々のコンテストで優秀な成績を挙げ、日本大会のみならずアジア大会でも優勝経験を持つダンサーでリーダーのJ。しなやかなハイトーンボイスが魅力、小柄ながらパワフルなダンスや演技も得意で舞台経験のある多彩なムードメーカーのHayato。海外へ渡り、ボーカルの実力を磨き上げたストイックな一面がありながら、ものまねが得意というチャーミングさも持ち合わせる天性のボーカリスト、Taka.。両親もダンサーというサラブレッドさながら、ワールドワイドに活躍し、ダンスジャンル“ブガルー”の創始者であるスキーター・ラビットが名付け親のダンサー、little Skeet。
容姿端麗、実力重視。生まれも経歴も異なる4人のスキルとセンスがWEBERとして魂をひとつにしたとき、未だかつてないエネルギーが放たれる――。
2013年に結成し、精力的にライブやイベントで名を馳せてきた彼らが、満を持して「オオカミの涙」でメジャーデビューを果たす。タイトル曲は美しいピアノとストリングスの旋律、涼やかなボーカルからスタートするが、心の中で錯綜する強さと脆さの狭間を行き交う心情を歌いながら、スピード感をもって展開していくドラマチックさが秀逸。涙か、はたまた心の欠片か。こぼれ落ちる“何か”を表現したような繊細なシンセの音色も、歌詞が持つ哀愁をいっそう劇的に彩っていく。
昨今、数々のダンス&ボーカルアーティストが音楽シーンを盛り上げているが、アイドルとして捉えられるグループも多い。そんななか、大人の色香漂う都会的で洗練、ハイセンスかつ精緻を極めたメロディを得意とするところが唯一無二、WEBERの持つ魅力だろう。
Taka.の流麗な英語が際立つ2曲目「Burning Glow」は、尖ったエレクトリックサウンドが放出されるアッパーチューン。全面に漂う男の色気を乗せたエモーショナルな曲調は、彼らがキレ味鋭いダイナミックなダンスパフォーマンスをするであろうことまでも想像させてしまう。
ピアノ、弦楽器と共に繊細で優しい歌が響く「Scream」(通常盤のみ収録)も同様。どんな曲調であろうと、彼らの歌・音に耳を傾けるだけでクッキリと、その曲がまとう情景や映像が浮かんでくるのもWEBERが掲げるアイデンティティのひとつ。
ダンス&ボーカルの枠を超え、いつの日か後続するエンターテイメントアーティストたちの羨望の的になり得るのではないか。そんなビジョンが決して大袈裟ではないことを、このデビューシングルで実感できるはず。
【文:恒川めぐみ】
リリース情報
オオカミの涙
発売日: 2017年02月08日
価格: ¥ 1,111(本体)+税
レーベル: ユニバーサル ミュージック
収録曲
1: オオカミの涙
2: Burning Glow
3: Scream