今年結成10周年を迎えたHilcrhymeの、約3年ぶりとなるビデオ・クリップ集の第3弾『Hilcrhyme Theater vol.3』。2014年1月リリースの「エール」から、2016年11月リリースの「WARAE～In The Mood～」までのシングル曲に加え、「New Era」「Side By Side」「春夏秋冬 フルオーケストラver.」のクリップが収録されている。

Hilcrhymeはライブでも、曲ごとに凝ったビジュアルを駆使し、また3Dライブ映画『Hilcrhyme 10th Anniversary FILM「PARALLEL WORLD」』を制作したり、彼らの代表曲を題材にした映画『春夏秋冬物語』が公開されるなど、音楽を映像化することや、音楽と映像とを融合することへのこだわりも大きい。このクリップ集を見ても、そんな彼らの映像に対するこだわりが伝わってくる。

彼ら自身が、彼らの映像をネットにアップロードするというストーリーの「エール」、“仲間がいる"という歌詞のメッセージを表現するように、彼らの地元である新潟の仲間たちが登場する「FLOWER BLOOM」、新潟の雪の中と学校で撮影され、青春時代の切ない思いを表現した「YUKIDOKE」、モノクロの彼らの映像とリリックとのコラージュが強烈なインパクトを与える「New Era」、自主映画を制作する高校生の、ピュアで切ないラブ・ストーリー「言えない 言えない」(TOCが剣道の先生役でも登場する)、一人の女性の私生活を通じて、歌詞にある“「私なんか」じゃなく「私だって」”を映像で見事に表現した「パラレル・ワールド」、Hilcrhymeと子供や外国人たち、そしてカラフルなイラストが楽しく踊り出す「WARAE～In The Mood～」、ライブのステージと客席の映像をドラマティックに編集した「Side By Side」、そしてオーケストラをバックにTOCが歌い、DJ KATSUがグランド・ピアノを演奏する、スケールの大きな「春夏秋冬 フルオーケストラver.」と、1曲ごとに様々な演出が施され、とてもバラエティに富んだ、そしてストーリー性のある映像が収録されている。

このクリップを見ながら楽曲を聴くと、Hilcrhymeの表現したい世界観がより明確に伝わってくるし、音楽と歌詞に込めたメッセージを映像によってより明確に伝えたい、という強い思いも伝わってくる。歌詞の世界観やメッセージをとても大切にし、そしてそれをファンと一緒に共有したいというHilcrhymeの思いを映像化した、見どころ満載のクリップ集だ。

【文・熊谷美広】