ライブハウスクラスの全国ツアー『GROVEST GIG～toward IDEAL REALITY～』を終え、現在は全国ホールツアー『UVERworld IDEAL REALITY TOUR』真っ只中のUVERworld。
この『GROVEST GIG～』ツアーでは、リリース前だったにも関わらず、既に本ニューアルバム『TYCOON』からもほぼ全曲が披露されていたと聞く。発表前に最も信頼できる人たちに、いの一番に新曲たちを届ける。いかにもライブ至上主義であり、ファンへの信頼が厚い彼ららしい頼もしい話だ。
そして、それら<信頼できる人たち＝ファン>を驚喜/驚愕させまくっているという多彩な新曲群が収まったニューアルバム『TYCOON』が、このたび届けられた。

彼らにとって3年ぶりのアルバムとなる今作は全18曲を収録。総収録時間は78分59秒にも及び、これはCD盤収録の限界値に近く、彼らの作品の中でも最大収録タイムに値する。今作の為に50曲以上の楽曲を制作。その中から今の自分たちが表現したい楽曲をパッケージしたと言う。

“うわっ、えらく自由なアルバムだな!!”
これが今作を初めて聴いた際の私の第一印象だ。これまで以上に、やりたいことが詰め込まれた感がある今作。「DECIDED (Album ver.)」(映画「銀魂」主題歌)、「一滴の影響 (Album ver.)」(アニメ「青の祓魔師 京都不浄王篇」オープニング・テーマ)、「僕の言葉ではない これは僕達の言葉 (Album ver.)」(アニメ「アルスラーン戦記」オープニングテーマ)、「WE ARE GO (Album ver.)」(アニメ「パズドラクロス」オープニングテーマ)、「I LOVE THE WORLD」(ゲーム「ドラゴンネスト」テーマソング)を始めとした既発表曲10曲に加え、新曲群も耳を惹く。
鍵盤のエレガントさと、♪何度でもやり直せばいい♪と力強く歌われる、途中4ビートも交えられた「シリウス」。克哉が作曲参加した、♪君以外の女性が行方不明♪のフレーズも印象的。ミディアムで愛しさがヒシヒシと伝わってくる「SHOUT LOVE」。生ヒップホップmeetsシティポップやフィーリーポップとも言えるバンド全体で作曲を担った「IDEAL REALITY」。アコギとフィドルの絡みの中、群れの中の一匹オオカミ同士を謳った「LONE WOLF」。ダブステップやエレクトロのカッコ良さとスリリングさも光る信人作曲による「奏全域」。ラストは明日にキチンと繋がっていく生命力溢れる「終焉」といった個性的で様々なタイプの楽曲たちが、今後の彼らのライブでのスタンダード曲に立候補しているかのように君臨している。

これだけ並べると一抹の不安は、このように様々なタイプ曲が多数入っていると、ややもするとチグハグになり、最後まで聴き通すのがキツいのではないかとの懸念だろう。しかしご安心を。その際、重要になってくる、流れやブロック、聴き飽きさせなさやダレさせないところも、今作では熟考されている。躍動感あふれる曲～疾走感のある曲～メッセージ性の強い曲～ダイナミズム溢れる曲～聴かせる曲～エレクトロ～ダンスミュージック～EDM～大団円的なロッカバラードと、そちらの面もしっかりと最良な布陣があなたの耳をLOCKしてくれることだろう。まさに、M-8「PRAYING RUN」のリリックにあるように、♪全部やって確かめりゃいいだろう♪　そんなアルバムなのだ。

11月からは今作を引っ提げてのアリーナツアー『UVERworld TYCOON TOUR』も控えている彼ら。そこではきっと今作からの各曲も、まるで自分の為に謳われている歌かのように響き、合わせてあなたも一緒に歌っていることだろう。

【取材・文：池田スカオ和宏】

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