レビュー
FTISLAND | 2017.08.23
韓国でバンド結成以来、今年でデビュー10周年を迎え、本国では先日、10年前のデビュー日に合わせて10周年記念アルバム『Over 10 Years:10th Anniversary Album』を発売。本格的な10周年アニバーサリー活動に突入した韓国出身の5人組ロックバンド、FTISLANDがその勢いのまま日本での音楽活動に突入。秋の全国ツアーの前に、日本で17枚目となるシングル「Paradise」をリリース。
タイトル曲「Paradise」は、韓国アルバムのリード曲となった「Wind」同様ボーカルのイ・ホンギが作詞作曲を手がけた。「Wind」は失恋してもまだあなたを思い続けるという気持ちを、曲の後半に向かってストリングスとバンドサウンドを絡めてダイナミックに盛り上がりを作る中、ホンギが高音をフルに使って感情を爆発させていくバラードだった。このような切なさとエモーショナルをブレンドしたバラードは、彼らがこの10年間かけて大切に磨き上げてきた得意のスタイルでもある。対して、新作のタイトル曲「Paradise」は“OVER 10 YEAR”、まさに10周年の先へと進んだFTISLANDを体感できる楽曲。
“ウォーオオーッオーオ”というコーラスが、冒頭から爽やかな風を曲に吹き込む。ミンファン(Dr)とジェジン(Ba)のリズム隊が軽やかにゆったりとしたテンポを刻み始めると、視界がパノラマに広がり、清々しい空気に包まれた中、スンヒョン(Gt)のカッティングとジョンフン(Gt)の透明感あふれるアルペジオが太陽のキラメキを描き出す。つまり「Paradise」は湿っぽい哀愁感はゼロ。幸せなラブソングなのだ。明るく晴れやかな色彩感、さわやかな開放感に終始包まれながら、自然体のままピュアなラブソングを歌うホンギに、リスナーたちが幸せな気持ちに満たされてくところこそがこの楽曲の魅力であり、進化したFTを感じられる部分なのだ。
C/Wの「Stay what you are」は、過去に「Orange Days」などでFTとコラボしたことがある作曲家が曲提供したアッパーのロックチューン。秋のツアーではライブ映えすること間違いなし。アコースティックギターのカッティングをベースに置いた「What about me?」はミンファンが作詞・作曲に参加した、ミンファンならではの切ないのに温もりを感じさせるミドルチューン。このシングルを引っさげ、彼らは9月から『FTISLAND AUTUMN TOUR 2017-Here is Paradise-』を日本で開催。10月からは約2年半ぶりとなるヨーロッパツアーも決定している。
【文:東條祥恵】
リリース情報
Paradise
発売日: 2017年08月21日
価格: ¥ 1,200(本体)+税
レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン
収録曲
1.Paradise
2.Stay what you are
3.What about me?
4.Champagne(FTISLAND Arena Tour 2017 - UNITED SHADOWS - Live at 日本武道館 2017.6.2)