レビュー
04 Limited Sazabys | 2017.08.22
先日、04 Limited Sazabysの『Human Communication tour』が大成功のうちに幕を閉じた。その東京公演の本編終盤にてボーカル&ベースで楽曲の作詞/作曲を手掛けるGENは、新旧交えてプレイされたこの日のセットリストを振り返り、「最近は明るい曲も書けるようになったし、曲調も明るくなってき出した。それはまぎれもなく、みなさんのおかげ。光が無いなら俺たちが光になる。これからはみんなに光を当て続けられるバンドになりたい!!」と会場に告げた。
確かにここ2年ぐらいの彼らの歌内容は変わってきている。2015年春に発売されたアルバム『CAVU』にて視界が良好になり、その中の「Terminal」がアンセムに成り始めた頃からだろうか。伝える言葉の使命感と責任、それによる影響力をライブ時の各曲の反応や反響から肌で感じ、それらはいつしか彼らの<伝えるべき歌><今うたうべき歌>の指針へと変わっていった。そして以後、現われる新曲たちにはどこか、リアリティや信義、鼓舞や代弁を帯び始めていくこととなる。
そんな中、彼らが1 年3 ヶ月ぶりとなるニューシングル「Squall」を発表した。
既に今夏の一部のフェスでは披露され好評なタイトル曲は、まさに上述のような<自覚>と共に生まれたと思しき1曲。現行の彼らが自身のこれまでを振り返り、歌内容のような、”雨上がりの虹の出現”を信じている多くの者に向けて高らかに歌ってくれているかのような人生払拭讃歌だ。
ストレートでハードエッジなメロディックサウンドに乗せ、まだもう少し自分を信じてみよう、勇気を出して今一歩ふみ出してみよう、そうすればきっと、これまでのことを雨が洗い流してくれ、新しい自分に出会えるはずだから…と響く同曲。何かがキッカケで生まれ変わったかのような新鮮さを手に入れたり、物事の考え方一つで世界が変わって見えたり、まるでオセロの石が全部裏返っていくような、全ての苦労が報われ天から光が降り注いでくるかのような、そんな瞬間が、今のこの先に絶対に待っていることを信じさせてくれる頼もしい楽曲だ。サビの部分で現われる、まるで景色がパーッと変わり、広がっていく、あの解放感は何度聴き返してもたまらなく、今後ライブを通して聴き終えた者、観終えた者に自信や変わる勇気を与えてくれることだろう。
続くM-2.「happiness」もパンキッシュながらも、こちらは更に明るく、ポップに響く楽曲。メニコン『1DAY Menicon PremiO』CM ソングとしても以前よりオンエアされてきたので、聴き覚えのある方も多いことだろう。一体誰のことを歌っているんだか...(笑)な歌詞にもクスりとさせられる。
そして、M-3.の「capture」はスタジオリハ風な出だしとエンディングも特徴的な怒涛のファストナンバー。ライブでのフロアのサークルモッシュが浮かんでくる、実に、“やっぱり、この辺りの曲がないと!!”とキッズを驚喜させてくれるショートシャープな楽曲だ。
「力」「笑顔」「爽快さ」の3拍子が揃い、トータルタイム8分にギュッと凝縮されている今作。11月からは約一年ぶりとなる全国ワンマンツアー『Squall tour』の開催も決定しており、きっとそこでは、この3曲が集まった者への「力となり」「笑顔にさせ」「スカッとした気持ちに変えてくれる」ことだろう。
今や04 Limited Sazabysは、多くの人の心を同化させることが出来る頼もしいバンドだ。そして、そう成長したことを改めて実感させてくれるシングルでもあるのだ、この「Squall」は。
【文:池田スカオ和宏】
リリース情報
Squall[初回生産限定盤CD+DVD]
発売日: 2017年08月30日
価格: ¥ 1,600(本体)+税
レーベル: 日本コロムビア
収録曲
1.Squall
2.happiness
3.capture