レビュー
DAOKO | 2017.10.18
中学3年からニコニコ動画に投稿を始め、若手の女性ラッパーとして早くから類い希な才能を発揮してきたDAOKO。インディーズ時代からm-floやTeddyLoidなど、蒼々たる面々とコラボを果たし、着々と実力を磨いてきた。繊細なウィスパーボイスに闇と切なさを絡めた歌声、そして鋭さが共存するリリックを紡ぎ出して、同世代の共感を一気に獲得。カリスマティックなビジュアルでも支持を集めるアーティストだ。
もちろん、そんなDAOKOが一躍その名を全国区に知らしめたキッカケは、やはり米津玄師プロデュースで、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の主題歌になった「打上花火」の大ヒットではないだろうか。俄然、注目度を増した彼女が、次にどんな作品をリリースするのか……。音楽シーンがザワついてきたタイミングで届いたニューシングル「ステップアップLOVE」(TVアニメ『血界戦線 & BEYOND』エンディング・テーマ)は、なんとJ-POPシーンに多大な影響を与えてきた岡村靖幸とのコラボ!
岡村もDAOKO同様、十代からソングライティングの才能を発揮し、86年にシングル「OUT OF BLUE」でデビュー。ソウルやロック、さらにはポップスをミックスした変幻自在の楽曲とリアルな言葉で“岡村靖幸”自身を表現して異彩を放ったアーティストだ。規格外の可能性を秘めたDAOKOとは絶妙のマッチングと言えるだろう。
さて、タイトルチューンの「ステップアップLOVE」だが、こちらの歌詞はDAOKOと岡村の共作。ふたりのかけ合いでテンポ良く進み、さらには洗練されたメロディーが心地よく響く。スキのないサウンドメイキングと、随所に挟み込まれるサウンドアレンジが爽快だ。
また、余談になるが「ステップアップLOVE」のMVでは、バスケットボールのコートで、ふたりがキレッキレのダンス・バトルを展開。DAOKOがロングシュートを決めて、岡村が驚きの表情を見せるシーンがあり、これが岡村の代表曲のひとつ「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」のオマージュのようで、岡村ファンはニヤリとさせられるはず。
また、限定盤Aのカップリングでは、DAOKOが岡村の名曲「カルアミルク」を見事にカバー。限定盤Bには岡村自身の新曲で美しいバラードナンバーの「忘らんないよ」が収録されているという濃い内容。そして期間限定盤にはダンサブルなDAOKOの新曲 「TOKYO-KICK-ASS」が楽しめるので、全曲聴いたらミニ・アルバムぐらいの聴き応えとなる。どの曲もセンス抜群の仕上がりだけに、長く聴き込める作品になりそうだ。
【文:海江敦士】
リリース情報
ステップアップLOVE[初回盤A]
発売日: 2017年10月18日
価格: ¥ 1,000(本体)+税
レーベル: TOY’S FACTORY
収録曲
01. ステップアップLOVE / DAOKO × 岡村靖幸
02. カルアミルク / DAOKO