レビュー

WANIMA | 2018.01.17

WANIMAのメジャー1stアルバム『Everybody!!』(エビバデ!!と読む)を聴き、正直驚いた。ええっ?! 2ビートの割合が一気に増えているではないか。2曲目「OLE!!」なんて一気呵成に畳み掛ける怒濤の疾走感が気持ち良く、心の中で思わずガッツポーズを取ってしまった。

彼らは昨年12月31日に『第68回NHK紅白歌合戦 夢を歌おう』(しかも白組優勝!)に初出演を果たし、国民的バンドへまた一歩近づいた。僕も当日はテレビの前で見届けたが、堂々たるメンバー3人の表情と姿勢を目撃して嬉しさが込み上げてきた。

今作は間違いなく、より多くの人たちがWANIMAに注目する絶好のタイミングである。そこでメロディック・パンクの武器=2ビートを随所に散りばめたアプローチを仕掛けてきた。これは自らの原点を忘れたくないという思いと、バンドに対して自信が付いてきた証だろう。

そんな熱いパンク魂を持ったまま、喜怒哀楽を全ベクトルに解き放つスケールのある楽曲が揃っている。オープニングの「JUICE UP!!のテーマ」からお祭り感満載で、いきなり聴く者のケツを蹴り上げる宴っぷりに身も心も躍りっぱなし。それから《まだ今は未完成でいい》と力強く歌い上げる「シグナル」は、自らの歩みを踏まえて全力で応援してくれるようなハートフルな曲調だ。また、アコギを効果的に用いた「ヒューマン」(フジテレビ系TVドラマ 木曜劇場『刑事ゆがみ』主題歌)は芯が太く、遠くに響き渡るようなKENTA(Vo・Ba)の歌心に圧倒されるばかり。

もちろんWANIMAらしいエッチな歌詞でイマジネーションを刺激する「CHEEKY」、「サブマリン」はまた過去曲とは違う聴き心地やアレンジが施され、早くライヴで聴きたい衝動に駆られてしまう。そして、童謡「ピクニック」を彼ら流にカヴァーというか、もはやオリジナルと言っても過言ではないクオリティに仕上げている「やってみよう」(au三太郎「やってみよう篇CMソング」)も文句ナシの素晴しさ。平易な歌詞と親密なメロディが融合し、口ずさまずにはいられない“みんなの歌"的なポピュラリティを発揮している。ほかにも季節感を重んじ、センチメンタルに聴かせる「SNOW」は大人っぽいWANIMAの表情にドキッとした。

そして、今作を締め括る表題曲「Everybody!!」は、この時代を生きる世界中の人に向けた楽曲と言っていいだろう。彼らの内に秘めた願いを歌詞と曲調に乗せ、これ以上なく大きな歌として響かせている。さらに作品を通して、多彩なコーラス・ワークが楽曲の熱量を一段と高めているのもポイント。自分たちの楽曲を一人でも多くの人に歌ってほしい、という切なる気持ちが詰まっているようだ。今作のレコ発ツアーは、とんでもない景色を見せてくれるに違いない。

【文:荒金良介】

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リリース情報

Everybody!!

Everybody!!

発売日: 2018年01月17日

価格: ¥ 3,000(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージックジャパン

収録曲

1.JUICE UP!!のテーマ
2.OLE!!
3.シグナル
4.CHEEKY
5.ヒューマン
6.花火
7.サブマリン
8.CHARM
9.ANCHOR
10.やってみよう
11.エム
12.SNOW
13.ともに
14.Everybody!!

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