レビュー

BiSH | 2018.04.10

 幕張メッセイベントホールでのワンマン・ライブの大成功、『ミュージックステーション』への出演など、大躍進が続いた昨年を経て、ますます人気が高まっているBiSH。5月22日に行う横浜アリーナ公演のチケットが即日完売し、現在、進行中の全国ツアーのチケットも全公演がソールドアウト。大型イベントへの出演も次々と決定……などなど、目を引く出来事ばかりであり、文字通り快進撃を続けているBiSHにとって、さらに追い風となりそうなのが、オリコンウィークリーチャート1位となった最新シングル「PAiNT it BLACK」だ。

 まず、タイトル曲「PAiNT it BLACK」は、“これぞBiSH!”と言うべき熱いエネルギーをリスナーに鋭く突きつける。力強く躍動するビート、唸りを上げる歪んだエレキギター、エモーショナルに高鳴るメロディは、“楽器を持たないパンクバンド”という、このグループが掲げているコンセプトの濃密な結晶だ。メンバーが真っ黒な衣装に身を包み、燃え上がらんばかりの勢いで全力のパフォーマンスを繰り広げている様が、ありありと浮かぶ。アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチを頼もしい切り込み隊長とするのが、BiSHの歌唱スタイルの基本だが、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの個性豊かな歌声も全篇で煌めいているのも楽しい。“この6人だからBiSH!”という嬉しさを、清掃員(BiSHファンの愛称)は、改めて強く噛み締めるだろう。

 そして、随所に盛り込まれているメンバー各々のモノローグが醸し出すシアトリカルな雰囲気が印象的な「SCHOOLYARD」も、とてもグッと来る。激しく響き渡れば響き渡るほどに、リスナーの心の奥底にある、何か大切なものを浮き彫りにするような曲だ。校庭の片隅の風景、何気ないと思っていた出来事、年月が過ぎるほどに深い意味を持って自分に迫ってくる思い出……そういったものをリスナー各々の胸の中で呼び起こすのではないだろうか。諦められない夢、いつまでも掴めない理想、募るばかりの焦りを抱えながら、慣れない街で孤軍奮闘している全ての人にとって、《太陽が私に疑問を投げかけてくるんだ 照らしてるのは何故か自分じゃないけれど》というフレーズは、ヒリヒリと沁みるのだと思う。

 強力な2曲を収録しているこのシングルをリリースした後のBiSHは、先述した横浜アリーナ公演に向かってさらにアクセルを踏むはずだが、その先も刺激的な活動を繰り広げるに違いない。思わず真似したくなるダンス(振り付けを手がけているのはアイナ)、メンバー全員が書いている歌詞の多彩さ、ロック愛好家が続々と清掃員となっているのも納得の音楽性の高さ、意表を突きまくるぶっ飛んだプロモーション手法、アグレッシブさとユーモアがバランス良く入り混じっている活動スタイル、親しみやすいメンバーたちのキャラクター……挙げだすとキリがない魅力は、ますます素敵な色合いを帯び始めている。“最近、よく名前を聞くけど、BiSHってどんなグループなんだろう?”って思っている人は、早速、今作を聴いてみてはいかがだろうか。今までに知らなかった新しい楽しみが、一気に広がることになるはずだ。

【文:田中大】

リリース情報

PAiNT it BLACK

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PAiNT it BLACK

発売日: 2018年03月28日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: avex trax

収録曲

01. PAiNT it BLACK
02. SCHOOLYARD

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