レビュー
コブクロ | 2018.04.11
コブクロの約1ぶりのシングルは「ONE TIMES ONE」。“ワン・タイムズ・ワン”が“1×1”のことであると知った時、それはミニマムには小渕と黒田のことなのだと思いつつ、二人に限らず、これはすべての出会いが奏でるマキシマムな想いへも繋がるんだなぁとも感じた。この楽曲タイトルからして、常に本質へ届くコンセプトを探そうとする、彼ららしい創作態度が伺える。
曲が始まると、いきなり多色が降りそそぐ吹奏楽的な編曲のサビが聞こえてくる。気高く胸を張るメロディ、歌詞には“歓喜”といったワ-ドも見られ、音と言葉が寄り添い、心地良く響き渡る。そして最後まで、心情的には気分がクレッシェンドし続けたまま、大団円を迎えるのだった。
二人のボ-カリストとしての個々の特性、その順列組み合わせは、デビュ-以来、作品ごとに試され続け、今へと至る。そして今回は、“1つと1つ”が混ざり合って“無限の色”というサビにおいて、二つの声が、まさにその表現そのままの働きをする。発表されている5月からのツア-が二人っきりでアリ-ナを回るスタイルであることも、「ONE TIMES ONE」という作品と、今後は自然な繋がりを成していくのだろう。
さらに歌詞について言うなら、注目すべき二か所を指摘したい。ひとつは“滑走路”→“でこぼこ道”→“Fly away”である。これは“困難を越えていけ”という強いメッセ-ジだ。もうひとつは“ル-ペ”→“光集め”→“焦がした情熱”で地図を描く、というあたり。“ル-ペ”が“焦がした”に掛かっているのは言うまでもないが、実に鮮烈である。いま挙げた二つは“歌の文句”ならではの誇張を含むゆえ、言いたいことが、とても伝わる。
カップリングの「バトン」は、生命が連鎖していく壮大なイメ-ジの中で、だからこそ、自分の腕時計が示す今こそを大切にしたいという、そんなメッセ-ジを受け取れる歌だ。一言一言が彫り深く届く、コブクロをコブクロたらしめる名唱であり、メロディはスタンダ-ド・ソング的なこなれたものになっている。
「君になれ」はドラマチックでメロディアスなロックであり、広い意味で“自分探し”の歌だろう。ここで言う“君になれ”とはどういうことなのだろう。歌詞で繰り返されるのは“今はまだ”という言葉であり、どうやら単に能動的なだけではない“自分探し”のようである。粘り強く、いっけんネガであることにポジを見出そうとする姿勢……。それこそが尊いのだと、この歌から教えられた気分である。
【文:小貫信昭】
新曲「君になれ」が、漫画『君になれ』(作:高野苺)コラボソングに決定!
「君になれ」からインスピレーションを受けた、漫画家・高野苺さんとのコラボ作品の連載が、月刊アクション6月号よりスタート!
誌名:月刊アクション6月号
発売日:4月25日(水)発売
定価:特別定価680円(税込み)
特別付録:コブクロ×高野苺「君になれ」コラボクリアファイル
リリース情報
ONE TIMES ONE
発売日: 2018年04月11日
価格: ¥ 1,204(本体)+税
レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン
収録曲
01.ONE TIMES ONE
02.バトン
03.君になれ
04.ONE TIMES ONE(Instrumental)
05.バトン(Instrumental)
06.君になれ(Instrumental)