レビュー

ずっと真夜中でいいのに。 | 2019.06.12

 ずっと真夜中でいいのに。(以下、“ずとまよ”)が、今年の『FUJI ROCK FESTIVAL 19』RED MARQUEEステージへ出演が決まったことは事件だ。そもそも、“ずとまよ”がYouTubeへ「秒針を噛む」のミュージックビデオ(2019年6月12日現在、2,300万再生を突破)を初投稿し活動開始してから、まだたったの1年。しかし、ストリーミング時代の世の動きは目まぐるしい程に早い。昨年、11月14日にメジャーデビュー作として1stミニアルバム『正しい偽りからの起床』をリリース。1stライブ『1st LIVE ~まだ偽りでありんす。~』を渋谷 CLUB QUATTROで行ったのはつい半年前の1月11日。その後、Spotify注目のニューカマー、フックアップ・プロジェクト『Early Noise』へ選出されるなど、あっという間にシーンの最先端へと躍り出た。

 その類い稀なる才能を裏付けるのが、楽曲力の高さはもちろんライブ表現の素晴らしさだ。

 楽曲世界観を大事に、魔法めいた音楽体験をスキルフルな生演奏によってリアルに感じさせてくれる。そんな“ずとまよ”の勢いを体現する2nd mini ALBUM 『今は今で誓いは笑みで』が6月12日にリリースされた。中心メンバー、ACAねによる流麗なる高音ヴォイスの魅力。時代性を感じさせる鬱屈とした切なき雰囲気を、感情を揺さぶるフロウによって、閉じ込めていた心の痛みを爆裂させる凄み。

<ずっと真夜中でいいのに。2nd mini ALBUM『今は今で誓いは笑みで』クロスフェード>


 1曲目、ピアノが先導するアグレッシヴなビートが心地よい「勘冴えて悔しいわ」でぶち上がるテンション。2曲目、先行配信された「正義」における、どこか懐かしくて、どこか新しい没入感高いドラマティック・ワールド。3曲目、「またね幻」では歌謡センスを感じられるミディアム展開が中毒性高い。4曲目、「マイノリティ脈絡」における跳ねるビートが心地よい、スタートから大展開していくジェットコースター・チューン。5曲目、「彷徨い酔い温度」ではクールダウンするかのように、祭太鼓のような音頭ビートに絡み合う摩訶不思議な夢世界へとトリップ。6曲目、「眩しいDNAだけ」はポエトリーにスタートを奏でながら、ラップめいた歌唱が切なさをより加速させていく。

<ずっと真夜中でいいのに。『正義』>


 メロディーラインの豊かさを見事に表現するACAねのヴォーカリストとしての能力の高さ。これでもかとめくるめくパズルのような曲構成の面白み、こだわりのアレンジメントや音使いによって洒落た世界観を演出しつつも、エモーショナルに心を奪っていく練りに練られた楽曲パワー。2019年も、“ずとまよ”による快進撃は止まらなそうだ。

<ずっと真夜中でいいのに。『眩しいDNAだけ』MV>

【文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】

リリース情報

今は今で誓いは笑みで<初回限定盤>

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今は今で誓いは笑みで<初回限定盤>

発売日: 2019年06月12日

価格: ¥ 3,300(本体)+税

レーベル: ユニバーサル ミュージック

収録曲

1. 勘冴えて悔しいわ
2. 正義
3. またね幻
4. マイノリティ脈絡
5. 彷徨い酔い温度
6. 眩しいDNAだけ
7. 勘冴えて悔しいわ (Instrumental)
8. 正義 (Instrumental)
9. またね幻 (Instrumental)
10. マイノリティ脈絡 (Instrumental)
11. 彷徨い酔い温度 (Instrumental)
12. 眩しいDNAだけ (Instrumental)

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