レビュー
Suspended 4th | 2019.07.30
期待のニューフェイスと断言したい。Hi-STANDARDやWANIMAが所属する老舗パンク・レーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」が送り出す"大型新人"という触れ込みに、オッ!と脊髄反射する人も多いのではないか。ただし音楽的には、厳密に言えばパンクというよりも、パンクを一要素に持つバンドという説明が正しい。その意味ではWANIMAに続いて従来のレーベル・カラーを打ち破ったサウンドを掲げている。
Suspended 4th、通称サスフォーは2013年に結成され、名古屋・栄の路上を中心に活動。つまり、実践で叩き上げた生粋のストリート・バンドなのだ。初めてライブを観たのは、今年開催されたパンク/ラウドの祭典「SATANIC CARNIVAL 2019」。彼らは2デイズの初日にあたる6月15日、「EVIL STAGE」の2番手として初登場。幕張メッセという大舞台にも怯まず、太々しい貫禄みなぎるパフォーマンスを叩き付けてくれた。その肝の座りっぷりはまさにストリート発を印象付けるもので、ふとした瞬間に怒濤のセッションに雪崩れ込む演奏力の高さにも驚いた。同フェスのラインナップの中でも異色の輝きを放ち、強烈なインパクトを与えていたのだ。
そんなサスフォーが8曲入りの1stミニアルバム『GIANTSTAMP』を完成。音源とライブはまた別物だが、バンドの魅力がぎっしり詰まった内容になっている。地を這うグルーヴィーな骨太ロックで迫る表題曲を聴くだけで、類型バンドがすぐに浮かばない個性を発揮している。「97.9hz」はスラップベースが火を噴くファンキーな仕上がりだが、聴く者のケツを蹴り上げる荒ぶったロック・マインドも忘れてはいない。紙資料にはEXTREAM、Mr.BIG、VAN HALEN、またレニー・クラヴィッツやスティーヴィー・サラスのことを好きなメンバーがいると書き記されているが、そうしたハードロックやファンクのエッセンスを見事に昇華したかっこよさだ。
そして本稿執筆時点で再生回数90万回を超え、100万回突破も時間の問題と言えるMV曲「ストラトキャスター・シーサイド」も素晴らしい。手数の多い演奏に埋もれず、Kazuki Washiyama(Gt/Vo)の爽快な歌声が耳にダイレクトに飛び込んでくる。今作の中でも1、2を争うキャッチーな曲調と言えるだろう。その歌唱力の高さは「ヨンヨンゼロ」などのミドルテンポの曲調にも如実に表れており、童謡にも通じるハートフルなメロディにグッときてしまった。そう、聴き手の意識を逸らさない緻密なアレンジが光る一方で、万人の琴線を揺さぶるポップな楽曲センスにも長けているのだ。今作を聴き、サスフォーの未来に激しく期待してしまうのは僕だけではないはず。ぜひチェックしてほしい。
【文:荒金良介】
Suspended 4th GIANTSTAMP(OFFICIAL VIDEO)
Suspended 4th ストラトキャスター・シーサイド(OFFICIAL VIDEO)
リリース情報
GIANTSTAMP
発売日: 2019年07月24日
価格: ¥ 1,800(本体)+税
レーベル: PIZZA OF DEATH RECORDS
収録曲
01.〒460-0008
02.GIANTSTAMP
03.97.9hz
04.ストラトキャスター・シーサイド
05.Vanessa
06.ヨンヨンゼロ
07.kniht
08.think