レビュー
WANIMA | 2019.10.18
35万枚を超える特大ヒットを記録した前作メジャー1stフルアルバム『Everybody!!』に伴う全国ツアー・ファイナルは、初のドーム公演(メットライフドーム)にて2018年8月25日、26日と2デイズ開催し、とんでもない景色を作り上げてくれた。そのライブを観て、「会場の規模に左右されないパフォーマンスを魅せつけた」とレポで書き記した。WANIMAというバンドの幹=らしさは太くしたまま、エンターテイメント性に細部まで目を配りつつ、楽曲を7万人(2デイズ)の観客にしっかり突き刺していたのだから、本当に驚くばかりであった。
そんな彼らが、前作から1年9カ月ぶりとなるメジャー2ndフルアルバム『COMINATCHA!!』(カミナッチャと読む)を完成させた。「夏のどこかへ」(三ツ矢サイダー2019CMソング)、「GONG」(劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』主題歌)、「Drive」(映画『OVER DRIVE』主題歌)など数々の大型タイアップ・ソングや既発シングル収録ナンバーを織り交ぜ、もちろん新曲も封入した全15曲入り。それらの楽曲がフル・アルバムとしてパッケージされると、耳馴染みのある楽曲も新鮮に聴こえ、作品の流れでさらなるドラマティックな光を放つ楽曲もあったりと、一枚を通してWANIMAの進化と深化を感じずにはいられない。また、ここが肝心なのだが、WANIMAは浮き足立つことなく、歌詞を、音楽をひたすら純粋に紡ぎ上げることで新天地に到達している、という印象を受けた。そう、メットライフドームでも感じたように、WANIMAの幹を太くしたまま、音楽的な枝葉をより一層広げ、華やかな実をつけた大木へと成長を遂げている。
今作は、2ビートで突っ走る勢いの良い「JOY」で幕を開ける。かと思えば、ちょっと大人っぽさも漂うレゲエ調の「Like a Fire」みたいな体が横に揺れるノリのいい曲調もある。そして、アコギ、鍵盤、ストリングスを大胆に導入した「宝物」は従来のファンはアッと驚き、初めて聴いた人をも惹き付ける名曲と言っていいだろう。KENTA(Vo/B)の表現力豊かな歌声が全開で、それこそアリーナ/スタジアム級の会場をひとつにできる訴求力を持っている。ハンドクラップを取り入れたパートも極上のアクセントとなり、何より至福感に満ちたサウンドが素晴しい。それから「Drive」の緻密なアレンジは今作の流れの中でも異色の輝きを帯び、より一層楽曲の個性を強烈にアピール。ほかにもWANIMAらしいエロちっくな「渚の泡沫」みたいな楽曲もあるし、後半に出てくるバラード調の「りんどう」は『弱いままで強くなれ』という歌詞のメッセージも相まって、ひときわ感動的に胸の奥底に響いた。さあ、これらの楽曲が過去最大の25万人を動員する全国ツアー「COMINATCHA!!TOUR 2019-2020」で観客と共鳴し合い、どんな景色を作り上げてくれるのだろうか、今から本当に楽しみである。
【文:荒金良介】
リリース情報
COMINATCHA!!
発売日: 2019年10月23日
価格: ¥ 3,000(本体)+税
レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン
収録曲
01.JOY
02.夏のどこかへ
03.Like a Fire
04.BOUNCE
05.GONG
06.宝物
07.シャララ
08.BROTHER
09.Drive
10.Baby Sniper
11.渚の泡沫
12.ここに
13.りんどう
14.アゲイン
15.GET DOWN