レビュー

PIZZA OF DEATH RECORDS | 2020.03.31

JKT

V.A.『The Very Best of PIZZA OF DEATH Ⅲ
2020年3月25日
PIZZA OF DEATH RECORDS
01.Fuckin’ Voice / BURL
02.Polestar / OVER ARM THROW
03.Tonight / DRADNATS
04.CUT THROUGH THE DARKNESS / MEANING
05.WAR IS BUSINESS / SLANG
06.Feed The Fire / ember
07.Less The Best / KUZIRA
08.From today / Track’s
09.Out Alone / Ken Yokoyama
10.Right or Wrong / COUNTRY YARD
11.FIGHT AGAINST / MID LOW HIGH HIGH
12.Pathetic / SAND
13.Drifting / SHADOWS
14.オーバーフロウ / Suspended 4th
15.絶叫岬 / GARLICBOYS
16.BEST OF THE BEST / NAMBA69


BURL

OVER ARM THROW

DRADNATS

 シンガロング必至の大合唱ソングで、パンク好きを叩き起こす最高の幕開け。その曲は元RAZORS EDGEの2代目ギタリストであるTAKA(Vo/Gt)が立ち上げたBURLの「Fuckin’ Voice」である。この曲をオープナーに持って来たのは、老舗レーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」が手がけるコンピ『The Very Best of PIZZA OF DEATH Ⅲ』。なんと今作は10年ぶりのコンピ第3弾作となり、「全バンド新曲、全曲キラーチューン」というコンセプトどおり、全16バンドによる"1曲入魂"ぶりがひしひしと伝わる内容となった。

 BURLに続くのはメロディック中堅バンド2組。<北極星のような目印になりたいよ(和訳)>と歌い上げるのはOVER ARM THROWの「Polestar」。直情的な走りっぷりにOATらしい広がりのある美メロが最高だ。DRADNATSの「Tonight」は、持ち前の重厚なコーラス・ワークを活かし、KIKUO(Vo/Gt)の透き通る歌声も素晴らしく、高揚感を刺激される爽快なアンセム・チューンに仕上がった。


MEANING

SLANG

ember

KUZIRA

Track’s

 ここで血沸き肉踊るハードコア勢が登場。カオティックなドラマ性で惹き付けるMEANINGの「CUT THROUGH THE DARKNESS」、疾風怒濤の攻撃力で痛烈なメッセージを突きつけるSLANGの「WAR IS BUSINESS」の切れ味も半端じゃない。ポップな歌メロを振り撒くemberの「Feed The Fire」を挟んだあと、メロディックの若手をきっちり収録している辺りもニクい。

 KUZIRAの「Less The Best」、Track’sの「From today」、どちらも抜けのいいハイトーン・ヴォーカルを武器にキラキラしたメロディを強烈にアピールしている。


Ken Yokoyama

COUNTRY YARD

MID LOW HIGH HIGH

 中盤の折り返し地点にはコンピ発案者である横山健率いるKen Yokoyamaの「Out Alone」を配置。鋭利なリフとともに切実なギターフレーズが耳に残り、行き場のない感情を吐き捨てるダークな音像に焚き付けられる。そして、今月4thアルバム『The Roots Evolved』(傑作!)を発表したばかりのCOUNTRY YARDの「Right or Wrong」もこれまた良曲。やさしい歌メロが聴く者の琴線を激しく揺さぶる。荒々しくもトゲトゲしいロックで迫るのはMID LOW HIGH HIGHの「FIGHT AGAINST」だ。戦闘本能を覚醒させられる野性味溢れるボーカルとサウンドがかっこいい。


SAND

SHADOWS

Suspended 4th

 続いて昨年11月に開催された国内外のハードコア勢が一堂に会したイベント「BLOODAXE FESTIVAL 2019」で最大級のモッシュピットを作り上げたSAND。この「Pathetic」という曲においても唾棄すべき対象を批判するリリック、鬼神のごときヘビーな音像で不穏な空気を撒き散らしている。

 意表を突かれたのはSHADOWSの「Drifting」で、ミドルテンポで突き進むオルタナティブな曲調が新鮮。新境地とも言えるジャジーなテイストを放ち、ライブではすでに披露済みのSuspended 4thの「オーバーフロウ」も巧妙なアレンジセンスが光る。


GARLICBOYS

NAMBA69

 今年結成35周年(!)を迎える大ベテランであるGARLICBOYSの「絶叫岬」が哀愁全開の濃厚なエモーションを炸裂させたあと、最後にNAMBA69が本コンピを締め括る流れも感慨深いものがある。「BEST OF THE BEST」はレゲエ風味から一気に加速するドリーミーな曲展開で聴かせ、ラストに相応しい魅惑曲と言っていいだろう。

 今回は全曲について書き綴ってきたけれど、レーベル内外のバンドを集めた楽曲群はどれも一筋縄ではいかない強烈な個性を発揮している。これを機にそれぞれの単独作に手を伸ばし、お気に入りのバンドをぜひ見つけてほしい。あなたの価値観を転覆させてくれる発汗作用抜群のコンピ盤だ。

【文:荒金良介】

リリース情報

The Very Best of PIZZA OF DEATH III

The Very Best of PIZZA OF DEATH III

発売日: 2020年03月25日

価格: ¥ 2,500(本体)+税

レーベル: PIZZA OF DEATH

収録曲

01.Fuckin’ Voice / BURL
02.Polestar / OVER ARM THROW
03.Tonight / DRADNATS
04.CUT THROUGH THE DARKNESS / MEANING
05.WAR IS BUSINESS / SLANG
06.Feed The Fire / ember
07.Less The Best / KUZIRA
08.From today / Track’s
09.Out Alone / Ken Yokoyama
10.Right or Wrong / COUNTRY YARD
11.FIGHT AGAINST / MID LOW HIGH HIGH
12.Pathetic / SAND
13.Drifting / SHADOWS
14.オーバーフロウ / Suspended 4th
15.絶叫岬 / GARLICBOYS
16.BEST OF THE BEST / NAMBA69

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