レビュー
まふまふ | 2020.10.15
激しさ。鋭さ。哀しさ。切なさ。儚さ。優しさ。強さ。美しさ。
マルチクリエイター・まふまふの初ライブ映像作品となるLIVE Blu-ray & DVD『ひきこもりでもLIVEがしたい! ~すーぱーまふまふわーるど2019@メットライフドーム~』を彩るのは、胸を揺さぶるさまざまな色模様だ。
アンコールも含めほぼ全曲を網羅した本作では、アーティストの真価が問われるステージに凛と立ち、熱狂する約35,000人に向けて揺るぎなく歌と想いを届け続けるまふまふの隙のなさに、あらためてうならされてしまう。多角的なアングルで彼をとらえるカメラも、それを証明している。
高くそびえる灰色の城にいくつもの十字架や不気味な目が飾られた、“まふまふわーるど”全開のゴシックなステージセットにて、「輪廻転生」に始まり、「ベルセルク」「立ち入り禁止」といったスリリングなナンバーをたたみかける序盤。漆黒の王子を思わせる衣装に身を包むまふまふの圧倒的な歌声はもちろん、楽曲の世界観とリンクした映像やライティング、噴き上がる炎も、実に鮮烈だ。
かと思うと、足取り軽やかに跳ねる「ジグソーパズル」や、爽やかな水色衣装でギターを弾きながら歌う「恋と微炭酸ソーダ」では、表情まで柔らか。「夢花火~鏡花水月 (Acoustic ver.)」「ナイティナイト」では、ピアノ伴奏のみで澄んだ歌声を響かせる彼の、指先まで美しい動きにドキっとさせられる場面も。
まふまふのホログラムが歌うという、斬新な演出に驚かされる「廃墟の国のアリス」。黒地に赤い彼岸花柄をあしらったモダンな着物をまとい、ムービングステージの上で華やかに舞い歌う「曼珠沙華」。After the Rainでの相方・そらるのイメージカラーであるブルーのペンライトも客席で揺れる中、「ありがとう! After the Rainの曲も連れてこられたぞ!」と感慨深げに手を振る「彗星列車のベルが鳴る」。オーディエンスの大合唱に胸いっぱいな様子の「夢のまた夢」。気球に乗り込み“すーぱーぬこになれた”帽子の耳をぴょこぴょこ動かすキュートな姿、彼の頭上カメラからの映像にも高まってしまう「すーぱーぬこになれんかった」。才能の新たな可能性を示した「それは恋の終わり」。彼の旺盛な表現欲、生き生きとした姿が、画面越しとは思えないほどダイレクトに伝わってくるではないか。
会場で高揚感や一体感に身を委ねているときには気づかなかった細やかな演出や表情、それらから読み取れる意図に気づくこともできるのが、映像作品の醍醐味。そしてなにより、現実世界を否定して生きてきたまふまふが、迷いなく自己肯定できた、大切な公演の記録である。まふまふを初めて知った人も、古くからのファンも、会場に足を運べた人も、そうでない人も。何度だって、その感動を追体験してほしい。
【文:杉江優花】
『ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2019@メットライフドーム~』 [Trailer]
■まふまふ LIVE Blu-ray & DVD「ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2019@メットライフドーム~」スペシャルサイト
https://supermafumafuworld.com/
リリース情報
ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2019@メットライフドーム~
発売日: 2020年10月14日
価格: ¥ 3,800(本体)+税
レーベル: A-Sketch
収録曲
01.輪廻転生
02.ベルセルク
03.立ち入り禁止
04.ジグソーパズル
05.君色々移り
06.サクリファイス
07.恋と微炭酸ソーダ
08.拝啓、桜舞い散るこの日に
09.朧月
10.夢花火~鏡花水月(Acoustic ver.)
11.ナイティナイト
12.廃墟の国のアリス
13.曼珠沙華
14.とおせんぼう
15.彗星列車のベルが鳴る
16.水彩銀河のクロニクル
17.忍びのすゝめ
18.夢のまた夢
EN1.すーぱーぬこになれんかった
EN2.眠れる森のシンデレラ
EN3.それは恋の終わり
(※本作品にMCシーンは含まれておりません。)