レビュー
IZ*ONE | 2020.10.21
I.O.IにWanna One、今年はその日本版となる番組からJO1と、時代ごとにモンスター級の人気グループを誕生させてきた韓国の音楽専門チャンネル、Mnetの公開オーディション番組「PRODUCE101」(通称“プデュ”)。そのなかで、IZ*ONE が革新的だったのは、このプデュと日本の国民的アイドル“AKB48グループ”がコラボするという前代未聞の大型プロジェクト、「PRODUCE 48」を通して誕生した韓国人9名、AKBグループの日本人3名からなる日韓合同グローバル・ガールズグループというところだ。
そのため、彼女たちはデビューから韓国活動では韓国のシステム、日本活動では秋元康プロデュースによるAKB48システムに合わせてそれぞれ異なる楽曲を歌ってパフォーマンスしてきた訳だが。日本活動において、日本だけのオリジナル曲を出すというケースはK-POP界においてそんなに珍しいことではないのだが、彼女たちのように1人の有名プロデューサーがそのすべてを継続的に仕切っていくというアプローチはこれまでになかったもので、画期的な手法だったといえる。
だが、IZ*ONEの日本1stアルバム『Twelve』は、その流れを踏襲したものの先に、予想以上の展開が待ち受けていた。日本でリリースしたシングル3曲に加え、全員歌唱の新曲「Beware」、「Waiting」(通常盤TypeA,B収録)、カン・へウォン、イ・チェヨン、矢吹奈子、チョ・ユリが歌うユニット曲「Shy boy」(WIZ*ONE盤)、さらにファン待望の音源化となったプデュ48の「好きになっちゃうだろう?(IZ*ONE Ver.)」、「夢を見ている間_Japanese Ver.(IZ*ONE Ver.)」。ここまではすべて秋元康が作詞を担当しているのだが、これら以外の作品は日本人メンバーが作詞・作曲に参加。韓国作品で彼女たちがやってきたクリエイティブが、この日本作品において見事に開花。これがアルバムの質感を変える大きな役割を担っている。
宮脇咲良とキム・チェウォン、キム・ミンジュ、アン・ユンジが歌うユニット曲「Yummy Summer」(通常盤TypeA収録)は宮脇が初めて作詞・作曲まで参加して作った楽曲で、元々は韓国のアルバム用に書き下ろしたもの。さらに、彼女たちのグローバルな人気を決定づけた韓国のタイトル曲、あの“花三部作”の日本語バージョンの訳詞も「La Via en Rose_Japanese Ver.」は本田仁美、「Violeta_Japanese Ver.」は矢吹奈子、「FIESTA_Japanese Ver.」は宮脇咲良がそれぞれ担当。オリジナルの世界観はそのままに、韓国語と日本語を理解し、グループのメンバーだからこそ書けるIZ*ONEが歩んできた道のりをキーワードとして入れこんだメッセージ性を感じさせる意訳が、これらの曲を華麗にブラッシュアップ。グローバル・ガールズグループならではの強みを活かした作品に仕上げてみせた。このようなことができるのも、IZ*ONEのメンバーの総合レベルの高さがあってこそ。ここからさらに彼女たちは美しく、力強く咲き誇る。
【文:東條祥恵】
IZ*ONE - Twelve Digest Trailer
リリース情報
Twelve<Type A>
発売日: 2020年10月21日
価格: ¥ 4,500(本体)+税
レーベル: ユニバーサルミュージック
収録曲
[CD]
1. Beware
2. Vampire
3. 好きと言わせたい
4. Waiting
5. Buenos Aires
6. 好きになっちゃうだろう?(IZ*ONE Ver.)
7. Yummy Summer
8. La Vie en Rose_Japanese Ver.
9. Violeta_Japanese Ver.
10. FIESTA_Japanese Ver.
11. 夢を見ている間_Japanese Ver.(IZ*ONE Ver.)
[DVD]
・Beware Music Video
・【IZ*ONE JAPAN 1st Fan Meeting】 Live in 日本武道館 2019.05.03
好きと言わせたい
O’ My!
Really Like You
Violeta
Memory
Up
La Vie en Rose
NEKKOYA (PICK ME) (IZ*ONE Ver.)
好きになっちゃうだろう?(IZ*ONE Ver.)
※Memory、Upは韓国語表記