レビュー

Eve | 2020.10.23

 無個性化していく現代社会に埋もれて生きていくのか?――。転換期を迎えた2020年、世界は急速な変化を遂げた。オフィスに居なければできないとされていた仕事がリモートで可能になったり、現地まで足を運ばないと観られなかったライブがストリーミング配信としての形で世界中から観られるようになったり……といった具合に。そうして一瞬で上書きされた常識を、私たちは、当たり前のように受け取り生きている。確かに物凄く便利で未来的にはなった。しかし、例えば、他人と対面してコミュニケーションを取る機会が減ったことや、顔の半分がマスクで覆われているせいで相手の表情を読み取りにくくなったことは暗部であり、これまで以上に個を主張しにくい世の中になったのも否めない事実といえる。

 そんなご時世に警鐘を鳴らすのが、Eveが10月3日にデジタルシングルとしてリリースした「廻廻奇譚」だ。10月より放送がスタートしたテレビアニメ『呪術廻戦』(芥見下々 著/原作は『週刊少年ジャンプ』にて連載中)のオープニングテーマに書き下ろされた同曲は、主人公の虎杖悠仁が“正しい死”を求め戦うという『呪術廻戦』のストーリーを見事に踏襲したものでありながらも、一方で機械的になりつつある現代社会にも、自然と目を向けさせるようなものになっている。

 4つ打ちのビートに無機質な歌声が重なる<有象無象 人の成り 虚勢 心象 人外 物の怪みたいだ>、<怨親平等に没個性 辿る記憶 僕に 居場所などないから>。絶望感を滲ませた後に心を解き放っていく<まだ止めないで まだ止めないで 誰よりも聡く在る 街に生まれしこの正体を 今はただ呪い呪われた僕の未来を創造して>。孤独と、向き合うことで生まれる葛藤心とのせめぎ合いが説いているのは、どんな環境下においても、瞳に光を宿し、自分が自分らしく生きることの普遍的重要性だ。気付かないうちに常識という呪術に操られがちな人生に“かっこいい生き様”を提唱する「廻廻奇譚」は、いまの社会へ自ら飛び込んでいくための羅針盤となるだろう。

【文:小町碧音】




TVアニメ『呪術廻戦』ノンクレジットOPムービー/OPテーマ:Eve「廻廻奇譚」

リリース情報

廻廻奇譚

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廻廻奇譚

発売日: 2020年10月03日

価格: ¥ 238(本体)+税

レーベル: TOY’S FACTORY

収録曲

01.廻廻奇譚

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