全てが一発録り!今という瞬間を鮮やかに切り取ったThe SALOVERSの2ndアルバム

The SALOVERS | 2011.05.19

 昨年、リリースした1stアルバム『C’mon Dresden.』が提示した新鮮なロックは、今年に入ってもその評価が高まり続け、The SALOVERSはくるりとの対バンなどでシーンの注目をさらに集めている。特に「Night in gale」や「サリンジャー」など、楽曲的な魅力が光るバンドだ。

古舘佑太郎(vo&g)、藤川雄太(dr)、藤井清也(g)、小林亮平(b)の高校同級生4人組の平均年齢 は19才。演奏は決して上手いとは言えないが、待望の2ndアルバム『バンドを始めた頃』は全7曲のすべてが一発録り。彼らの今という瞬間を鮮やかに切り取っている。中でも一発録りのドキドキ感満載のオープニング・ナンバー「狭斜の街」、素直な“フラレ心”が痛い 「SAD GIRL」、自分を虫に変身させて街をさまよう「夏の夜」がオススメ。このワイルドで繊細な4人に、話を聞くことにしよう。


古 舘:中学のときにバンドに憧れて、くるりやTHE BLUE HEARTSのコピーバンドを始めて、高校でオリジナルをやりたくなりました。
藤 川:僕はもともとそのバンドでキーボードを弾いてたんですけど、オリジナルをやることになってキーボードの必要なくなって、うーんと思ってたら、ドラムが抜けて・・・・・・。
古 舘:1週間後にライブが決まってたから、強制的に雄太にドラムを叩けって言って、ライブをやった。
藤 井:そしたら、客がゼロで(笑)。
EMTG:あはは、でもすぐ叩けるなんて天才的!
古 舘:ほんと、しょっぱなは天才かと思いましたよ(笑)。
藤 川:ドラムのセッティングの仕方も分からないから、ライブハウスの店長さんに教わったり。
EMTG:最初のオリジナルができたときは?
小 林:「来たー!」と思いましたよ。気持ちよかった。
古 舘:とにかく俺が曲を書くんだって、がむしゃらにやって。みんなで合わせたとき、雄太を含めて一瞬で「おー!」ってなった。あ、これはす ごく楽しいなと思いましたね。曲のいい悪いは置いておいて、自分たちで理解できるかどうかも置いておいて、形になってた。今、聴くとかなり恥ずかしい曲ですけど。
EMTG:でも、みんなで「来たー!」って感じたことは本物だったんだ。すごくいいバンドの始まりだね。
古 舘:で、今回のアルバムに入ってる「SAD GIRL」ができた頃、バンドをやっていこうと思いましたね。
藤 井:そのあたりで前のギターが抜ける抜けないっていう話になっていて、僕は3人のリハーサルを座って聴きながら、「やりたいな」って思ってたんですよ。で、メンバーになりました。
古 舘:「サリンジャー」ができて、バンドをやっていけるかなと思いま した。この曲は、言葉もメロディも初めて自覚的に書けた。その1年後に「Night in gale」ができ て、バンドが本格的になったんだと思います。それまでは、認めたくはなかったけど、やっぱり学生バンドだった。プロに憧れていて、でもそれは雲の上のことだと思ってたけど、もしかしていけるんじゃないかなって。1stアルバムに入っているのは、「サリンジャー」以降の曲です。
藤 川:1stのレコ発イベントで、50分やれることになって、忘れられてた「SAD GIRL」とかをやってみたら、「何、これ!?」っていう手応えがあって。
古 舘:雄太と亮平は「SAD GIRL」も、今回のアルバムに入ってる「Hey My Sister」も「ペンシルフィッシュ」も好きだったみたいで。でも俺は絶対に嫌だと思ってたんですけど、久しぶりにやってみたら素直に「いいな」と思えたんですね。それで、今回、レコーディングしてみようってことになって。
EMTG:自分たちが作った曲の良さや本来の形が理解できるようになったのかな。
古 舘:そうかもしれないです。で、一発録りでやりました。
EMTG:「SAD GIRL」をレコーディングしてみて、どうだった?
古 舘:昔の日記を、恥ずかしいけど、でも読んじゃう、みたいな(笑)。
EMTG:雄太くんは、どうして「SAD GIRL」が好きだったの?
藤 川:佑太郎の書く歌詞のレベルがどんどん上がってる中で、「SAD GIRL」はストレートだから好きですね。
藤 井:ストレートだから、スッと入ってくるっていうか。
EMTG:一方で、「狭斜の街」はかなり複雑だし、それでいて勢いがあるね。
古 舘:アップテンポの曲で、アレンジと歌詞が出来上がるのに時間がかかりましたね。
藤 川:僕は決まったリズムしか叩けなかったんですけど、佑太郎が「この曲は、それじゃないだろ」って言って。
EMTG:かなりドラムが暴れてる曲だよね。
古 舘:そうなんですよ。一発録りだから、二度と同じことはやれないかもしれないけど、このテイクがいいっていうのを選びました。作り始めと 完成形では、曲の姿がまったく変わりましたね。
EMTG:僕は「夏の夜」が好きだな。♪自動販売機の光探す 僕は夏の虫♪っていう、不思議なムードを持った 曲だよね。
古 舘:♪あいつら人間には内緒だぜ♪って(笑)。夏に感じたことをそのまま書いたんですけど、俺にとっては曲の持っている一枚の絵のようなイメージが大事で、それをメンバーに共有してほしいと思ってる。で、聴いてる人には、聴いて 想像してほしい。
EMTG:最後に楽しそうな誰かの笑い声が入ってるのも面白い。
藤 川:あれは僕と亮平が、佑太郎に「もっとちゃんと笑え」って怒られながら録った。
EMTG:怒られてたんだ(笑)。
古 舘:気合、入ってるでしょ(笑)。
EMTG:完成してみて、『バンドを始めた頃』はどんなアルバムですか?
藤 井:技術はまだないけど、その部分じゃないところで押し切った。それはそれで味があると思う。
古 舘:よくも悪くも未完成で、生々しいアルバム。純粋にやったものを、形に残せて嬉しいです。

【取材・文:平山雄一】

tag一覧 The SALOVERS

関連記事

ビデオコメント

リリース情報

バンドを始めた頃

バンドを始めた頃

2011年05月19日

EMIミュージックジャパン

1. 狭斜の街
2. SAD GIRL
3. Hey My Sister
4. ペンシルフィッシュ
5. チェリンの唄
6. 夏の夜 (mindless ver.)
7. バンドを始めた頃

このアルバムを購入

お知らせ

■マイ検索ワード

●古舘佑太郎(Vo&Gt)
CREEP 歌詞 和訳

レディオヘッドの2ndシングルCREEPの意味が気になって、ちょうど昨日調べてました。

●藤井清也(Gt)
ゲイリームーア 追悼

ライブがあったって聞いたんで、動画検索してたつもりだったんですけど、いろいろ調べてるうちに、何故かWikipediaに辿りついて。そこでいろいろな情報を見てました。

●小林亮平(Ba)
チューブ トランジスタ 違い

アンプの種類なんですけど、自分がどっちのタイプの音が好きなのか調べたくて。どっちがどうとか、結局どこが違うのかとか。実はそういうことをあんまり詳しく知らなかったんで、調べてみようかと。

●藤川雄太(Dr)
レシピ

スパム丼が好きで、自分でもよく作ってるんですよ。でも、いつものレシピに飽きてきたっていうか、新しい味ないかなって思って。結局、新しいドレッシングを作りました。


■ライブ情報

♪The SALOVERS 2nd ALBUM
「バンドを始めた頃」RELEASE LIVE

■6月5日(日)
会場:Shibuya WWW
出演:シェイクシェイクグループ
[問]HOT STUFF PROMOTION
03-5720-9999 (平日15:00〜18:00)

♪RUSH BALL☆R
■6月18日(土)
会場:大阪城音楽堂
出演: another sunnyday、avengers in sci-fi、BIGMAMA、他
INFO:GREENS 06-6882-1224

♪TOWER RECORDS SENDAI 25th ANNIVERSARY!
「ALTERNATIVE JUNCTION」SOWNEN TOUR 2011

■2011.06.21(火)
会場:仙台 PARK SQUARE
出演:pocketlife、LOSTAGE
[問]ノースロードミュージック仙台
  022-256-1000

♪SOWNEN IN IWAKI
■6月22日(水)
会場:club SONIC iwaki
出演: LOSTAGE、notice it、LATESHOW
INFO:club SONIC iwaki
0246-35-1199

♪UNIT 7th ANNIVERSARY NO MARK vol.22 SPECIAL
■7月21日(木)
会場:代官山UNIT
出演:ZAZEN BOYS、kamomekamome、SuiseiNoboAz
INFO:VINTAGE ROCK
03-5486-1099

トップに戻る