寄り添うように咲いた花を、みんなに届けてくれる、ねごとの2ndアルバム
ねごと | 2013.02.05
2011年7月にリリースされた、1stアルバム『ex Negoto』から約1年半ぶりに、ねごと待望のアルバムがリリースされる。
今作『5』は、昨年の11月から“4ヵ月連続リリース”を企画し、シングル「nameless」「greatwall」「たしかなうた」をリリースしてきた最終章となる。
高校生時代バンド結成当初の楽曲も多く含まれていた『ex Negoto』に対し、彼女たちのリアルな現在(いま)を感じる『5』。
「nameless」から今作を生み出すまでのさまざまな想いを、蒼山幸子(Vo)と沙田瑞紀(G)に訊いた。
- EMTG:1stアルバム『ex Negoto』は、初めてのフルアルバムでもあり、“フレッシュさを詰め込みたい”という話を4人でし、”高校時代に作っていた曲で音源化出来ていない曲たちを詰め込もう!”とのコンセプトの下、作られたと以前にお聞きしましたが、今作『5』には、どのような想いが込められていますか?
- 蒼山幸子:まず、アルバムタイトルの『5』には、私たち4人だけじゃなく、ねごとの音を聴いてくれてるファンのみなさんや、支えてくれてるスタッフのみなさんが居たからこそ出来たと感じる曲が多く入っている、という意味が込められていて。1stアルバム『ex Negoto』は、音楽を、”楽しい!!”と思ってやり始めた初期衝動の中で生まれてきた曲たちを詰め込んだんですけど、今回の『5』は、 “どうしたら音楽で1つになれるんだろう?” “どうしたら音楽を通してみんなを幸せに出来るだろう?”ということを考えて、悩みながら出来た曲たちなんです 。“1つの作品として聴いて下さい”ってことじゃなく、“一緒に曲を作りたい”“一緒に楽しみたい”との想いが強い、私たちとリスナーを繋ぐアルバムになったかなって。
- 沙田瑞紀:本当に、1枚目のアルバムとは全然違う意識の中で作られた作品でしたね。”どうしたらリスナーと繋がれるか”を意識するようになったのって、『ex Negoto』の後にやった、「sharp ♯」(2012年4月発売のシングル)のツアーの時くらいからなんです。「sharp ♯」のツアーのファイナルが、渋谷のAXだったんですけど、そこで1つ、見ることが出来た景色があったんです。
- EMTG:それは?
- 沙田:「sharp ♯」のツアーは、ずっと“どうしたらリスナーと繋がれるか?”との想いを抱えて回ったツアーでもあったので、ライヴ中に今まで以上にたくさん動いてみたり、ステージギリギリまで行って演奏してみたり、煽ってみたり、いろんなMCをしたんですけど、どうしてもその想いをクリアーに出来ない自分たちが居て。”なんとかしなくちゃ””なんとかしなくちゃ”っていう思いで立ったファイナルのステージだったというか。ツアーの着地点としては、何か掴むモノはあったと思うんですけど、“まだもっと出来るはずなのに、どうしてなんだろう?”という思いがずっと残っていて。”何かから抜け出さないといけない!”との思いを持っていたんです。そこからも、”何がダメなんだろう?”って、更に一歩踏込んで考えるようになって。メンバー間で、もっともっと話し合っていくべきなんじゃないかって。本当はお互い色々思っているのに、”言わなくても伝わるよね”っていう思いが何処かにあって。でも、本当は言わなくちゃ解らないし、”どういうライヴがしたいのか”も話し合わなくちゃ解らない。そうやってちゃんと話してぶつかっていかなければ、一緒に楽しめるライヴは作れないって思ったんです。それをきっかけに4人で話すことも増えたし、チームのみんなとも話すことも増えたんです。改めてちゃんと話をして、一緒にライヴを作るようにしようってなったこともあり、今回のアルバムは、ちゃんと話して向き合って作れた1枚になりましたね。
- EMTG:今まで何回もライヴをやっていて、ツアーも経験しているのに、どうして「sharp ♯」のツアータイミングでそう感じたんでしょうかね?
- 沙田:たぶん、つもりつもったモノだったと思うんです。何か大きなきっかけがあった訳ではなかったので。
- 蒼山:うん。それに、「sharp ♯」っていう曲は、初めて“突き抜けたい!”っていう思いを曲にした作品でもあったから、そこが大きかったのかも。一番バンドとしても葛藤した時期でもあったんです。”「sharp ♯」のツアーで何かを得ないと、先には進めない!!”って思ってたし。それもあって「sharp ♯」のツアーは、自分たちの中では「起死回生ツアー」って呼んでたんです(笑)。”1回1回が勝負だ!!”って思いで挑んでいたので、信じる気持ちはすごく強いツアーだったし。そのツアーの終着点として、AXでのライヴはすごく意味のある1本になったと思うんですけど、またその先を見たくなったんです。
- 沙田:まずは、”4人が楽しめてないとダメなんだな”って、そこで思ったんです。そこから「4人が楽しめる空間ってなんだろうね?」ってすごく話し合いました。今までも全力だったんですけど、全力の向き合い方が違っていたというか。今までは、それぞれが目の前のことに向かって突進していた全力だったから、それじゃダメだなって。そうじゃなく、4人の音が1つになってから、突進しなくちゃダメなんだって気づけたんです。1人1人がどう考えていて、どういうプレイがしたいのかを話し合って。それで、ギュッと1つになる方向を向けたのがAXの後だったんです。
- EMTG:その時期にアルバム作りもあったとお聞きしましたが。
- 蒼山:はい。アルバムの制作自体は、去年の頭から始まっていたんです。本当は去年中にアルバムを出す予定だったので。でも、今話したように、上手くいかない時期でもあったので、一度白紙に戻したんです。このままだといい作品を作れる自信もなかったし。そこからまたじっくり話し合って、作詞作曲者のクレジットを“ねごと”に統一したり、”みんなで一緒に音に向かおう”って、もう一度見直すところから始めたんです。そんな中で生まれたのが「nameless」で。この曲は、<変わりたい>という自分たちの想いと、ねごとの存在に気づいて欲しい、立ち止まって欲しいという気持ちが詰まっている、気持ちの爆発寸前みたいな1曲になったんです。「nameless」が出来たことで、一歩前に進めた気もしたし。それで、どうしても、在学中に2枚目のアルバムを出したいってことになり、2月にアルバムをリリースすることを決めて、そこまでの流れを、4ヵ月連続リリースという形で残していこうとなったんです。
- 沙田:「nameless」が出来たからこその決意でしたね。2枚目のアルバムを知ってもらうためには、もっともっとねごとを知ってもらいたかったので、そこに向かうまでに、3部作のシングルを出したかったんです。
- EMTG:なるほど。連続リリースという形は、すごく赤裸々に、ここに向かうまでの4人の気持ちが音と歌に現れたものだったんですね。
- 沙田:そうなんです。自分たちでも、こんなにも影響してくるとは思っていなかったほどで。ライヴをしていた裏側で制作活動をしていたので、抱えていた気持ちが全部音に出た感じでしたね。
- EMTG:それだけ素直な音と歌ってですよね。
- 沙田:ですね。自分たち的にライヴが納得いってないから、曲を作っても、いい曲なはずなのに響かないんです。”それってなんだろうな?”って、すごく葛藤があったんです。全然自信も持てなかった。だから、予定していたアルバムをリリースせず、一度白紙にしてもらったんです。でも、「nameless」が作れたことで、光が見えた気がして。いいアルバムを作れそうな手応えを感じたんです。
- 蒼山:「nameless」が出来て、次に「たしかなうた」が出来たんですけど、「greatwall」は、まだその時点では出来ていなくて。第2弾作品となる楽曲を作ろうっていうところで、いっぱい新曲を作って持ち寄ったんですけど、どれも納得いかなくて。それで、もう一度0から作り始めたとき、最初に出来たのが「greatwall」だったんです。この曲が出来たとき、”この曲だったら行けるな!!”って思いましたね。
- 沙田:本当にそんな手応えがあったよね。
- 蒼山:初めてねごとを聴いてくれた人たちにも、圧倒的なインパクトを与えて、一緒に楽しめるライヴが出来そうな曲になったなって。
- 沙田:「greatwall」は、このタイミングで生まれて来た必然性を感じましたね。「nameless」は、自分たちが、変わりたくて、”変わりたい! 変わりたい!!”って願いながら何度も何度も壊しては積み上げ、壊しては積み上げて作っていったので。
- EMTG:なるほど。こんなにもシングルの3部作からの繋がりが濃いアルバムだったとは。
- 蒼山:3部作あってのアルバムになったと思います。「nameless」は、爆弾みたいな曲で、ねごとの存在をまだ知らない人に、ねごとを知ってもらいたいっていうインパクト性を込めた曲で、「greatwall」は、私たちとリスナーの間にある壁を取っ払う1曲で、「たしかなうた」は、バンドの音にあまり馴染みのない人たちにも聴いてもらいやすい1曲として3部作の最後に置いたんです。アルバムに向かう想いがすごくはっきりしていったというか。そこでやったホールツアーでは、そうやって進んできたことが間違いじゃなかったという手応えも、しっかりと感じられたんです。
- EMTG:すごく、バンドの原点に帰った気持ちの上での制作だったんですね。
- 蒼山:そうですね。最初はもっと違う曲を選ぼうとしていたし、今、このタイミングで作ったからこその1枚になったと思います。
- EMTG:確かに。個人的にはアルバムラストの「flower」がとても印象的でした。この曲をラストに持ってきたメンバーの想いもすごく訊いてみたくて。
- 沙田:『5』を作る以前から、「flower」は2枚目のアルバムに入れたかったんです。この曲も結構初期、今から3年前くらいに作った曲で。”4人で音を鳴らすのがとにかく楽しい!!”っていうのが詰まってる1曲でもあるかなと。音楽に取り憑かれてる感じが楽曲に出てる気もするし。ある意味「flower」は、『5』の裏テーマでもあると思っていて。「nameless」で爆弾という種を投げて、「greatwall」で緑を肥やして増やして、「たしかなうた」で、隣りで寄り添う花になりたいという、その流れの続きをアルバムで作りたかったんです。隣りで寄り添うように咲いた花を、みんなに届けにいくような、そんなアルバムにしたくて。「flower」を2枚目のアルバムに入れたい」って言ってた時は、3部作の話もなかった頃だったのに、自分たちがそこに込めたかった想いが、ちゃんと繋がってくれたんです。
- EMTG:それってすごい!
- 蒼山:そうなんです。今回、“花”という抽象的なキーワードは、自然と自分たちの中にあったんだと思います。
- 沙田:そういう繋がりって素敵だなって思いますね。
- EMTG:そうですね。今回、他に古い曲はあったりしますか?
- 沙田:「メイドミー…」が一番古いですね。
- EMTG:そうだったんですね!? アルバム曲の中では、「メイドミー…」は、新しいねごとを感じた曲でもあったんで、すごく意外でした。
- 沙田:「メイドミー…」は、最初のオーディションに応募するデモテープに入っていたくらい古いんです。「初めて曲を作りました」って言ってもいいくらい、古い曲で。もちろん、そこから形は変わっていきましたけど、原型は変わってないですね。「20歳(はたち)を超えて、大人の憂いのようなモノも音に活かしていけたらいいね」って話して、色々と変化させていったんです。
- EMTG:ライヴでのねごとを感じますよね。いい意味で、ねごとの変態性というか(笑)。
- 沙田:あはははは。そうですね(笑)。滲み出てますね。今回はそういうとこも含め、今のねごとをリアルに感じてもらえると思います。1stのときは、私と幸子だけで楽曲の軸を作っていたんですけど、今回は全曲を通して、根本から4人で作っていきましたから。それぞれが全力で1曲に対してぶつかって、4人で1つになれたらいいねって。
- 蒼山:本当に1つになれる、一緒になれるアルバムだと思います。
- 沙田:1曲の中で、誰かが1人でも抜けたら、何の曲か解らなくなっちゃうくらい1人1人があってこその、4人が1つになった音を感じてもらえると嬉しいですね。
- 蒼山:早く鳴らしてみたいアルバムになったので、今はライヴがしたいですね。「メイドミー…」と「潜在証明」は、ドラムの小夜子がメロディと歌詞を書いてくれたんですけど、それもすごく新鮮だったし、「そして、夜明け」は、ベースの瑞紀がメロディーを作って、佑が歌詞を書いているんですけど、それも新鮮でありながら、やっぱりねごとらしさは失われていないなって感じたし。今は、そういうところを、音源ではもちろん、早くライヴでも歌って届けたいなって。
- EMTG:“出来ること”が増えた感じですね。
- 蒼山:そうなんです。「ねごと」というクレジットにしてから、すごく自由に曲が作れてるような気がしているので、そんな変化を感じてもらえたら嬉しいですね。
- 沙田:今、ねごとに向き合う時間が増えたことと、頭の中で、“こんな風に音に出来たらいいな”と思うことが具現化出来るようになってきたことに、すごく幸せを感じているんです。このアルバムを聴いて、ねごとの新たな一歩を感じてもらえたらなと。このアルバムは、ライヴをやってこそ、本当の意味で完成すると思っているので、ぜひライヴに来てほしい。5人目のねごとに直接花を届けに行くツアーになると思うので、ぜひライヴで一緒に楽しみましょう!
- 蒼山:1人1人と繋がれるように、みんなの夢を見せられるように頑張ります! ねごとでしか残せない音と歌を、全国に残してきたいので、ぜひツアーに遊びに来て下さい。待ってます!!
【取材・文:武市尚子】
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ビデオコメント
リリース情報
お知らせ
●蒼山幸子(Vo)
【市ヶ谷 スタジオ】
「先日、市ヶ谷で収録があったので、その前に個人練習に入りたくて、スタジオを調べたんです。個人練習に入る時は、鍵盤を弾きながらボイス・トレーニングをしたり、ねごとの曲はもちろん、自分の音楽プレイヤーをスピーカーに繋げて、好きなアーティストさんの曲をおもいっきり歌ったりしてます。男性アーティストさんの曲だとキーが低いので、勝手にハモリパートを付けたりして歌うんですけど、結構いい練習になるんですよ。たまに、“コラボしたらこんな感じかなぁ〜”なんて1人で妄想しながら歌ってます(笑)」
● 沙田瑞紀(G)
【ボールカッター】
「テレビで、“人間のような歯を持つ魚”って取り上げられていて、興味が湧いたので自分でも調べてみたんです! すごいんです! 本当に人間の歯みたいなんですよ、この魚。人も噛み殺しちゃうくらい凶暴らしいし。怖いでしょ? 実際に食べられちゃった人が居るらしいんです。普段はテレビを見ても、特に調べ直したりしないんですけど、なんかこの魚は妙に気になって調べちゃった。でも、調べてみたらすっごく怖くて後悔しました………(苦笑)」
■ライブ情報
閃光ライオット感謝祭 第二弾
2013/02/10(日)shibuya duo MUSIC EXCHANGE
お口ポカーン!! 卒業旅行は全国ツアー 〜GREEN and motion〜
2013/02/15(金)千葉LOOK
2013/02/16(土)水戸LIGHT HOUSE
2013/02/17(日)宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-02
2013/02/23(土)神戸太陽と虎
2013/02/24(日)京都磔磔
2013/02/28(木)浜松窓枠
2013/03/02(土)岡山IMAGE
2013/03/03(日)出雲APOLLO
2013/03/09(土)鹿児島SR-HALL
2013/03/10(日)熊本Django
2013/03/23(土)高知X-Pt.
2013/03/24(日)高松DIME
2013/03/30(土)仙台MA.CA.NA
2013/03/31(日)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2013/04/06(土)盛岡CLUB CHANGE WAVE
2013/04/07(日)郡山CLUB #9
2013/04/13(土)福岡BEAT STATION
2013/04/14(日)広島CLUB QUATTRO
2013/04/19(金)富山SOUL POWER
2013/04/20(土)金沢van van V4
2013/04/21(日)長野LIVEHOUSE J
2013/04/29(月)札幌PENNYLANE 24
2013/05/18(土)沖縄桜坂セントラル
お口ポカーン!! 東名阪ワンマンツアー 〜spark of FLOWER〜
2013/05/04(土)なんばHatch
2013/05/06(月)名古屋CLUB DIA月D HALL
2013/05/11(土)ZEPP TOKYO