KEYTALK、止まらない勢いに拍車をかける2ndシングル『パラレル』
KEYTALK | 2014.03.13
- EMTG:「パラレル」は首藤さんの作詞作曲ですね。これ、聴いているとテンションがすごく上がります。
- 首藤:ありがとうございます。元ネタ自体は結構前から存在していました。今回のシングルを出すにあたって「どうしようか?」って話し合う中でこれを選んで、みんなで形にしていきました。アップダウン、抑揚のようなものは、今までの曲の中でもかなりある方だと思います。ジェットコースターに乗っているような仕上がりですね。
- EMTG:KEYTALKの曲って、基本的にジェットコースターですよね。
- 首藤:そうですね。テンポが速いものが多いですし。ライブを意識して曲を作っているので、「ここでガツンと盛り上げたい」とか意識するんです。その結果、抑揚がついている気がします。
- 寺中:「ジェットコースター」って、たしかにそうだなと思えるワードですね。僕はジェットコースターに怖くて乗れないんですけど。
- 小野:観覧車しか乗れないんです。
- 寺中:はい(笑)。ジェットコースターに乗れない人にも、ジェットコースターに乗った気分を味わってもらえるような。そういう爽快感がある曲になっていると思います。
- EMTG:ハッとさせられる展開の連続ですからね。例えば前半の《すれ違った僕らは》のところで、大胆な転調を遂げたりしますし。
- 首藤:今おっしゃった転調のところは、1回ここで落として、元の調に戻るようなことをやっています。それが「パラレルワールドに突入!」みたいな、歌詞とリンクしたイメージなんですよね。そういう展開をすることによってサビの爆発感も出たと思います。
- EMTG:KEYTALKってライブとかも含めてハジケた印象を持つ人が多いと思いますけど、実はすごく知的で緻密な味付けのサウンドをやっているバンドなんですよね。
- 首藤:ありがとうございます。なかなかそう言って頂ける機会が少ないので(笑)。
- EMTG:そんなことないでしょ(笑)。
- 首藤:たまには褒めてもらえることがあるので、そういう時は嬉しいです。「ライブでお客さんが盛り上がって良かった」みたいなのとはまた別の嬉しさがあります。ミュージシャンズミュージシャンにもなりたいという気持ちがあるので。音楽をやっている人を唸らせられる深いこともやっていきたいです。
- EMTG:「この曲、楽しいからコピーしようぜ!」って挑戦した少年少女たちとか、やってみたらKEYTALKのすごさに気づくんだと思いますよ。
- 小野:でも、そういう子たち向けに作っているところもあるんですよ。僕は高校の時にメタルとかも好きで聴いていたんですけど、速弾きのフレーズって難しくて全然弾けなかったんです。でも、練習するとギリギリ弾けるような曲って好きで。KEYTALKの僕のフレーズはそういう感じですよ。
- EMTG:ドラムに関しては、サビで4つ打ちを炸裂させて踊らせるKEYTALKの必殺技も発揮していますね。
- 八木: KEYTALKのキラーチューンはサビで4つ打ちのことが多いですけど、これもそうですね。ライブのキーポイントになり得る曲だと思います。
- 首藤:4つ打ちが純粋に好きだっていうのもあるんですけど、最近、4つ打ちって日本語の歌詞が乗りやすいなというのも感じているんですよ。日本語って1つの音符に1文字乗る感じで、ベタっとした独特な響きがあると思っていて。170前後のBPMで4つ打ちをやった時、そういうベタっとした日本語の歌が乗りやすい気がしています。もちろん踊らせる意味で4つ打ちをやっているところもあるんですけど、歌があるからこその4つ打ちにしているところもあるんですよね。
- EMTG:「歌を活かすための4つ打ち」って初めて聞いた発想ですけど、面白いですね。
- 首藤:最近、ふと思ったことなんです。「もしかしたらそうなのかな?」っていう感じではあるんですけど。4つ打ちだからこそできること、書ける曲ってまだまだいっぱいありそうだなと。4つ打ちってシンプルなビートですけど奥が深いですよ。
- EMTG:あと、この曲は歌詞もいいですね。ラブソングとして解釈する人もいると思うんですけど、僕は「理想の自分がいる場所=パラレルワールドへ到達したい!」という願いがこもっているように感じました。
- 首藤:もともとは内省的な、個人の中で完結するような歌詞にしようと思っていたんです。イメージの根本は「お互いに並行して存在する2つの世界があって、片方の上手くいかない状況の方から、もう一方の理想の世界へ行きたい」っていうような感じですね。リリースされるのは春ですし、期待と不安が混在する季節感みたいなものを意識した部分もあります。
- EMTG:パラレルワールドにいる自分って、誰もが想像するんじゃないですかね? 「あの時、別の選択をしたら今とはまた別の自分になっていたはずだ」とか、「もっといい人生だったに違いない!」っていうようなことも含めて。
- 首藤:僕、そんなようなことばっかり考えています(笑)。僕の場合のそういう別れ道は、大学に行かなかったことですかね。まあ、結果的には今、楽しいので良かったと思っていますけど。大学に行ったらこうしてKEYTALKをやっていなかったわけですし……不思議なもんですね。
- 八木:僕もそういうのを考えること、すげえあります。僕はずっと野球をやっていたんですけど、高校で野球部に入ったら、多分、バンドはやっていなかったでしょうね。野球部は坊主強制だったので嫌だったんです(笑)。
- 小野:僕はそういうの何かあるかな? 結果的にいい方向になったことが多いと感じていますので。でも、例えば別のバンドに入ったら、また別の人生だったんですよね。
- EMTG:寺中さんは、そういうの何かあります?
- 寺中:僕は小学校6年になる前からギターを弾きながら歌い始めたんです。中学時代も好きでずっとやっていて。路上ライブをしたり、ライブハウスみたいなところでもやったり。でも、中3の時になんかグレちゃったんですよね。
- EMTG:そんな過去があったんですね(笑)。
- 寺中:今思えば、グレてましたね(笑)。
- 八木:リアル「15の夜」(笑)。
- 寺中:家に帰りたくなくて友だちの家に泊まりまくっては、そいつの部屋にある漫画を夜な夜な読みまくっていたんです。そこで『はじめの一歩』という漫画と出会いまして、「俺もボクサーになる!」と決めて、ギターを封印してランニングをするようになりました。そして、「ボクシング部がある高校に絶対に行く!」って言って受験したんです。進学した結果、3年間殴られ続け(笑)。そんな日々を経て「進学はどうするんだ?」ってなった時、ボクシングでの進学という選択肢もあったんですけど、「もうやりたくない。音楽に戻ろう!」と。だからギターの封印を解いて音大を受けたんです。もし、高校の3年間も音楽を続けていたら……今、もっといい感じになっていたのかもなあ。
- (一同大爆笑)
- 小野:結局そういうオチなのね(笑)。
- EMTG:(笑)では、2曲目の「サイクル」のお話に移りましょう。これは寺中さんの作詞作曲ですね。
- 寺中:そうです。
- EMTG:この曲、すごく斬新なミクスチャーですね。ラテン、和テイスト、ディスコ、ロックが融合しているじゃないですか。
- 寺中:「今までにないやり方で曲を作る」っていうのを先に決めて作り始めたんです。今まではギターを弾いて鼻歌でメロディを作るっていうやり方だったんですけど、これはイントロのリズムのところから作り始めました。オケを打ち込みで完全に作ってしまって、その後にギターでサビのメロディを考えたり。あと、Aメロの部分は早口みたいにしたいと思っていたので、そういう言葉を探しました。
- 首藤:ライブで盛り上がりそうな楽しい曲ですね。初めてデモを聴いた時の印象は「KEYTALKっぽいな」っていうものだったんですけど、アレンジをしたり膨らませていく中で、ありそうでなかった面白い曲になっていきました。歌っていても楽しいですよ。
- EMTG:八木さん、この曲はいかがですか?
- 八木:すげえ変な曲ですけど、中毒性があると思っています。耳馴染みがない新しい感じだけど、すごく印象に残っちゃう。そういう曲ですね。
- EMTG:リズムもいろいろ変化しますしね。
- 八木:そうですね。難しかったです。ラテンっぽいところは……ラテン感が出せたのかどうか分からないですけど。
- EMTG:これは僕の勝手な印象ですけど、八木さんの語り口って独得なのんびりした間がありますし、柔らかな雰囲気の方ですから、ラテンとは正反対のキャラなのかなと。
- 八木:何っぽいですか?
- EMTG:何でしょう? ラテンって脂っぽくて、腋毛とかボウボウ生えてそうなイメージじゃないですか? 八木さんはそういう感じの人じゃないですよね。
- 八木:なるほど。
- 小野:その通りです。腋毛、2本くらいしか生えていないですから。見抜いていますね。
- 寺中:なんで腋毛の話になってるの?(笑)。
- EMTG:話の方向性を完全に誤りましたね(笑)。今、すごく後悔しています……。
- 八木:腋毛が生えるように頑張ります!(笑)。
- EMTG:ええと、話を戻して……小野さんは「サイクル」をどんな風にとらえています?
- 小野:やはりこの曲は演奏するのが難しいですね。馴染むまでには時間がかかったんですけど、レコーディングが終わったものを聴くと楽しいです。いろんな要素が入っているけど、とっ散らかったものにはなっていないですね。いい曲になりました。
- EMTG:この曲って春夏秋冬の描写があったり、メロディにも和的な趣きがありますよね。
- 寺中:サビの歌詞を作る時に「春」「夏」「秋」「冬」、4つ入れちゃおうっていうのを決めました。そういう1年間を通しての言葉もあるし、Aメロは早口で流れるような感じ。曲の完成形を聴いた時に感じたのは「回っている」っていうイメージでした。だからタイトルを「サイクル」にしたんです。歌詞を書くにあたってストーリーは特に考えなかったんですけど、全体的に回っている感じのイメージがあったんですよね。そういうニュアンスを出せたのが気に入っているところです。
- EMTG:強力な新曲を届けるシングルになりましたね。KEYTALK、絶好調じゃないですか。ライブのキャパもどんどん大きくなっていますし。
- 首藤:そうですね。そう見えるようにちょっとずつキャパを大きくしています。行き過ぎない程度にジワジワ広げる戦法が上手くいっているのかなと(笑)。
- EMTG:(笑)あと、ネットの公式チャンネルの予告編を観ましたが、今回のシングルの初回盤のDVDが面白そうですね。みなさんに関する噂の数々を検証するそうで。
- 首藤:そうなんです。「すみませんでした!」という感じなんですけど(笑)。
- EMTG:KEYTALKってロックバンドの域を越えた笑いへの貪欲さがありますよね?
- 寺中:メンバーそれぞれのいろんな枝葉も見せていきたいんです。
- 小野:このDVD、52分くらいのかなり濃厚なものになっていますよ。1日かけてのロケで撮影しました。
- EMTG:八木さん、特典DVDの見どころは?
- 八木:えっ!? 初めて訊かれた質問ですが……どうしよう? ええと……僕らの人となりがうっすら、なんとなく見える。そういうDVDです!
- 首藤:こちらもいろんな人に観て頂けると嬉しいです。
昨年11月のメジャーデビュー以降、ますます人気が高まっているKEYTALK。2ndシングル『パラレル』は、さらなる強力な追い風となるだろう。ドラマチックで起伏に富んだ展開、ダンス衝動を果てしなく加速するビート、絶妙なコンビネーションによるツインボーカルが炸裂するタイトル曲「パラレル」。多彩なサウンドの要素を融合させつつ、胸に深く沁みる美メロを響かせる「サイクル」。このバンドのソングライティングのセンスの素晴らしさ、豊かな表現力が漲る2曲は、どのようにして生まれたのか? メンバー4人に語ってもらった。
【取材・文:田中 大】
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※詳細、その他のライブ情報は、オフィシャルサイトをご覧ください。
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