BUMP OF CHICKEN、新作『RAY』インタビュー!挑戦する勇気が導くバンドの今

BUMP OF CHICKEN | 2014.03.12

 BUMP OF CHIKENが、前作『COSMONAUT』から3年ぶりとなる7thアルバム『RAY』をリリースする。この3年間、世間と積極的にコミットしていったバンドのオープンなマインドが各楽曲に注がれた、かつてないほどフレッシュな光輝に満ちた作品になった。7月には初の東京ドーム公演を控える4人に聞いた。

EMTG:“3年ぶりのアルバム”と口にするときにどこか不思議な感覚があって。『COSMONAUT』以降のこの3年間は、ホントにこれまでにないくらいリスナーと開かれたコミュニケーションをとってきた季節でもあったと思うんですよね。
藤原基央(Vo・G):まず基本的にいい音楽を作りたい、いいライブをやりたい、そしてそれをひとりでも多くの人に届けたいという気持ちが基本にあって。その思いは歳を重ねるごとに、バンドがキャリアを積むごとに、より強くもなってるんですけど(笑)。何か新たな局面を迎える度に、自分たちがなぜそういう行動をとったのかとか、自分たちで振り返るとそこには理由があって。結局それは、いい音楽を作りたい、いいライブをやりたい、ひとりでも多くの人に届けたいということに行き着くんです。僕らが歩んできた道のりはその精神性が作ったものであって。ただ、ここ数年はその道のりの続きに、いままで開かなかった扉を開けていかなきゃいけない局面が多かったんですね。それはすごく勇気を必要とするものでもあったんですけど。
EMTG:今にして思えば、新しい扉を開いていく最初の分岐点はどこにあったと思いますか?
藤原:一番わかりやすいのはベスト(『BUMP OF CHICKEN I [1999-2004]』、『BUMP OF CHICKEN II [2005-2010]』/2013年7月リリース)だったのかなと思うんですけど、もっと考えてみると、ライブ映像作品(『BUMP OF CHIKEN GOLD GLIDER TOUR 2012』/2013年3月リリース)をリリースするのもそうだし、MTV(2012年6月に「MTV VMAJ 2012」に出演)に出たのもそうだし。毎回、新しい挑戦にドキドキしながら。おっかなビックリのときもあるし。
EMTG:おっかなビックリなところもあったんですね。
藤原:やっぱりそういうところもありましたよ。
増川弘明(G):QVCのスタジアムライブをYouTubeで生配信することもそうだったよね。
藤原:うん。どんなふうに聴いてもらえるのか、とかね。
直井由文(B):そういう不安はありつつ、必然性をもっていくつもの新しい扉を開けられたのは、僕らにとってこんなにうれしいことはなくて。ベストを出せるというのも、ライブをやっている中で昔の曲では盛り上がってる人が最近の曲ではあんまり盛り上がってないとか、あるいはその逆もあるとなったときに、ベストという選択肢が自然と出てきた。で、ベストの記念ライブをQVCでできて。あのライブはホントにオーディエンスのみんなのカッコよさが証明されたと思うんですよ。YouTubeで生配信するというのも、ライブ映像作品をリリースするときも考えたんですけど、僕らはやっぱりライブは生がいいという思いでずっとやってきて。だから、スタッフからライブ映像作品を出してみないか?という打診は過去にも何度かあったんですけど、やっぱり生がいいと言い続けてきて。でも、その裏側で物理的にライブに来れない人がいる状況があって。じゃあそういう人たちにも作品として届けようって気持ちになれたのも、お客さんと一緒にずっとライブを作ってこれたからであって。さっきも言いましたけど、お客さんがホントにカッコいいから。タイアップも作品の監督さんやプロデューサーの方が僕らの音楽を愛してくれているからこそ実現できたものばかりだし。
EMTG:「ray」という曲は結果的に『RAY』というアルバムタイトルを呼び込んだということですけど、そこにはもちろんなんらかの必然性があったわけですよね。
藤原:結果的にはあります。まず、「ray」という曲がアルバム収録曲の中で最後にできて。で、ある程度曲が出そろったからアルバムのことを考えよう、タイトルを決めようってなったんですね。そのときに僕らの中で一番旬だった「ray」という言葉が大文字になってアルバムにタイトルになっちゃったんです。いろいろみんなで考えたんですけど、やっぱり『RAY』しかないんじゃないかなって。
増川:『RAY』は最初から候補に上がっていて、そこから3、4時間考えたんですけど、また『RAY』に戻ったんですよね。『RAY』を越えるものが出てこなかった。
藤原:いくら『RAY』という言葉がそのときの僕らの旬でも、変えたくなるのが人情じゃないですか。なので別の言葉を探したいと思ってたんですけど、『RAY』に適う言葉がなかったんですよね。他の曲に当てはめてみても、「ray」が中心となって各曲を包み込める強さ、大きさがあったから。
EMTG:「ray」はどういう状況で書いた曲なんですか?
藤原:あんまりそのときの心情とかは覚えてないんですけど、ひとつだけ覚えてることがあって。ある日の風呂上がりにバーッと書いたのが「ray」の歌詞で。
藤原:その歌詞は歌詞のまま残っていて。それからしばらく経ったある日に曲を書いていて、あの歌詞を曲にしようって仕上げたんです。だから、最初はお風呂の中で考えたことがそのまま言葉になっていったんだと思うんですけど。
EMTG:しかし、《確かめる間も無い程 生きるのは最高だ》というフレーズをはじめ、すごく新鮮でストレートな言葉の筆致があって。今の藤原くんだからこそこの歌詞を歌えるんだとも思ったし。これまでBUMPが残してきたさまざまな曲のアンサーにもなり得る1曲でもあるとさえ思った。
藤原:おおっ。自分ではね、そこまで深く考えてないんですけど――これもさっきお話した、バンドがいろんな局面を迎えて、いろんな段階を踏むにあたって、毎回いろいろな勇気が必要だったということ。それと同じで、《生きるのは最高だ》というフレーズにしても――やっぱり躊躇はしたんですけど―――バーッと歌詞を書いたときの気持ちの正直さ、心の動きには勝てないものがあって。曲がそうやって生まれてきて、曲のあるべき姿がはっきりわかっていたから。そこはもうそのまま書くしかないと思った。躊躇したとしても書くしかなかったんです。
EMTG:そして、4月5日の幕張メッセを皮切りに、ツアー「WILLPOLIS2014」がスタートします。そのラストを飾るのが、7月31日の東京ドーム公演で。最後にドームの話ができたらと思うんですけど。
藤原:やっぱり楽しいライブにしたいですね。僕らもお客さんも夏に花火を見に行って、“ああ、楽しかったね!”ってなるような、そういう体験ができたらいいなと思います。
増川:うん、ホントにそうだね。みんなが楽しめるライブにしたい。
升秀夫(Dr):正直、まだ実感が湧いてないんですけど、僕らも含めてドームにいる何万人の人が同じように感動できるライブがしたいですね。
直井:先日、メンバーでポール・マッカートニーのライブを東京ドームに観に行きまして。そのときはまだ僕らのドーム公演は最終決定してなかったんですけど、もしかしたらここで僕らとお客さんでライブを作れるかもしれないと思ったら、すごくワクワクして。楽しみでしょうがないです。ただ、僕らはいい意味で会場の規模によってライブのあり方を変えるバンドではないと思うから。ツアーはどの会場でも最高のライブをしたいと思います。

【取材・文:三宅正一】

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リリース情報

RAY【初回限定盤】(CD+DVD)

RAY【初回限定盤】(CD+DVD)

2014年03月12日

トイズファクトリー

[CD]
1. WILL
2. 虹を待つ人
3. サザンクロス 
4. ラストワン
5. morning glow
6. ゼロ
7. トーチ 
8. Smile
9. firefly
10. white note
11. 友達の唄
12. ray
13.(please)forgive  
14. グッドラック

[DVD]
〈Music Video〉
1. 虹を待つ人
2. ゼロ
3. Smile
4. firefly
5. 友達の唄
6. グッドラック

〈2013.8.9 Live at QVC Marine Field〉
1. Stage of the ground
2. firefly
3. 虹を待つ人 
4. プラネタリウム
5. 花の名
6. ダイヤモンド
7. メーデー
8. K
9. 天体観測

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お知らせ

■ライブ情報

BUMP OF CHICKEN Live at STUDIO COAST
2014/03/31(月)東京 新木場スタジオコースト

BUMP OF CHICKEN TOUR「WILLPOLIS 2014」
2014/04/05(土)千葉 幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
2014/04/06(日)千葉 幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
2014/04/17(木)愛知 日本ガイシホール
2014/04/18(金)愛知 日本ガイシホール
2014/04/26(土)石川 石川県産業展示館4号館
2014/05/03(土・祝)新潟 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
2014/05/10(土)福岡 マリンメッセ
2014/05/11(日)福岡 マリンメッセ
2014/05/17(土)静岡 エコパアリーナ
2014/05/24(土)徳島 アスティとくしま
2014/05/31(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
2014/06/01(日)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
2014/06/07(土)広島 グリーンアリーナ
2014/06/08(日)広島 グリーンアリーナ
2014/06/14(土)宮城 セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
2014/06/15(日)宮城 セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
2014/06/23(月)大阪 インテックス大阪5号館
2014/06/24(火)大阪 インテックス大阪5号館
2014/07/06(日)沖縄 沖縄コンベンションセンター展示棟

BUMP OF CHICKEN TOUR "WILLPOLIS 2014” FINAL
2014/07/31(木)東京・東京ドーム

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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