Nothing’s Carved In Stoneが新作で挑んだ新たな試みとは?
Nothing’s Carved In Stone | 2014.08.06
- EMTG:今回のアルバム『Strangers In Heaven』は、かなりチャレンジした曲もあって大きな変化を感じますね。
- 生形:個々の中ではいろいろ感じてきたこともあったと思うんですが、そこはメンバー間で話し合ったわけじゃなくて。常に違うことをやっているけど、聴けばNothing’sの音になっているっていうのが、毎回アルバムを作る上での一番のメインテーマなんですよ。だから、今回もそういう思いで臨んでます。
- EMTG:そこがNothing’sらしさなのかなという気がします。ライブではワイルドなノリがありつつ、叙情的に聴かせる曲もキッチリ出せるあたりが独特なのかなと。
- 村松:メランコリックな感じとか……。
- 生形:ああ、でも、そういうサウンドは全員好きだよね。曲ごとにストーリーがある雰囲気とか。ひたすら激しい音が鳴っているというよりは、展開のある音が好きかもしれない。そこは意識せずとも出てくるんですよね。
- EMTG:じゃあ、制作に関してはいつも通りだったと。
- 生形:そうですね。それぞれが持ち寄って曲にしたり、みんなで“こういう曲を作ろう”って決めてスタジオに入ったり……いつもだいたいそんな感じです。
- EMTG:今回、“こういう曲を作ろう”と決めてスタジオで作った曲はありますか?
- 村松:「キマイラの夜」かな? アルバム曲が出そろった時に“最後にシメる曲が欲しいよね”って話になって。そしたらスタジオで、曲アタマのベースフレーズをひなっち(=日向秀和)がパッて弾いたんですよ。そこから出来た曲なんです。
- EMTG:「キマイラの夜」は、歌詞もすごく印象に残りますよね。散文詩のような……言葉数が少ないというか。
- 村松:歌も演奏も最後に録った曲だし、歌詞も最後に書いているんですよ。制作の流れで挑戦したいことは全部できてたんで、逆にまったく新しいアプローチで作ろうと思った歌詞でしたね。メロディーは少ないんですけど、言葉の切り際もあまり聞き取れないようなものにしようと思って。
- EMTG:なるほど。ちょっとボーカルがサウンドエフェクトっぽい感じに聴こえるので面白いですね。ということは、本能的に出てきた歌詞だったりするんですか?
- 村松:いや、逆に時間がかかりましたよ。このアルバムにふさわしい歌詞にしようと思ったので。
- EMTG:個人的には「Crying Skull」でのサウンドアンサンブルにも、Nothing’sらしい個性を感じました。こんな展開をしていくバンドってなかなかいないですよ(笑)。
- 生形:ただ、ウチとしては、こういうパターンは得意なタイプですね(笑)。メカニカルなフレーズがひたすら続いていて、サビでスポンと抜けるっていうね。リハーサルの時に、ひなっちが手癖でフレーズを弾いてたんです。なので、最初はベースから始まる曲にしようかと思ったのが、あれこれいじっていくうちに“ギターから始まって、ベースは違うフレーズを弾いた方がいいんじゃない?”ってことになって生まれた曲です。だから曲としては、すぐに出来ましたよ。
- EMTG:これがサックリできるのって……呼吸が合わないと難しいと思いますが。
- 生形:確かにずっとフレーズ弾いてますもんね。でも、これこそが、今回のアルバムの中で一番Nothing’sらしさが出た曲かもしれないです。
- EMTG:実は「Brotherhood」にも、何か心に迫るものを感じたんですが、かなり個人的な出来事を歌われている気がしました。
- 村松:歌詞に関しては、全体的にすごくパーソナルなんですよ。やっぱりリアルであることの方が伝わるというか、血が通うものになると思うんで、リアルなものを書くようにしてます。ただ、どういう風にも解釈できるように表現しているので、聴いた人に寄り添う曲になっていると思います。敢えて伝えたい意味合いを言うとしたら、「Assassin」っていう曲(前作『REVOLT』収録曲)のアンサーソング的なポジションで歌詞を書きました。自分の中のもうひとりの自分とか、誰もが戦うことに対しての答え……Nothing’sにとって、またひとつの通過点になるような歌詞だと思います。
- EMTG:なるほど。では、挑戦の多かったアルバムの中から、おふたりに自分が一番挑戦したと思える曲を1曲ずつピックアップしていただきたいんですが。
- 生形:「Midnight Train」は、歪んだギターがあまり入ってないんだけど、自分としてはそういうのってあまりやってこなかったんですよね。イントロのリフだけ歪んでいて、あとはほぼクリーンな音でギターを録ったのは初めてかもしれないです。
- EMTG:この曲、ボーカルはかなり低いトーンじゃないですか?
- 村松:低い声とオクターブ高い声を重ねるっていう手法ですよね。個人的にはすごく好きなんですけど、やったことがなかったんです。
- EMTG:じゃあ、これもある種の挑戦ですね。
- 生形:そうだよ。最初の頃はファルセット部分は俺が歌ってたもんね(笑)。
- 村松:そうそう(苦笑)。そもそも俺、しゃがれている声の人がすごく好きだったから(笑)。それ以外だと、「雪渓にて」のサビのコードが転調している感じは、挑戦できてよかったなって思います。
- 生形:確認したもんね。“このコード、大丈夫なの?”って(笑)。
- 村松:転調している部分までひとつのサビに聴かせるようなアプローチが出来たのは挑戦だったかもしれない。
- EMTG:おふたりが上げてくれた挑戦曲って、アルバムの中では確実に雰囲気を変える曲になっている気がします。
- 生形:あー、そうかもしれない。
- EMTG:そういえば、タイトルの『Strangers In Heaven』には、どんな意味を込めたんでしょうか?
- 村松:Nothing’sって、何か硬質で冷たい感じの音にたとえられることが多かったんですけど、最近血の通ったものに感じてもらえるように変わってきてて。音楽の向こう側に人がいる感じっていうんですかね。そういうことをもっと伝えたいし、もっと広がって欲しいなっていう願いを込めてつけました。要するに、俺達が作ったっていうだけで完結させたくないんですよね。だから……すごく聴いて欲しいでんす!
- EMTG:細かくまわるツアーもありますもんね。ライブでもしっかり聴かせていって欲しいです。
- 生形:ホントは全都道府県まわりたいくらいなんですけど。それでも、これだけ多くの場所でライブができるって、すごく幸せなことなんで、足を運んでくれる人達には、来てよかったと思えるライブをしたい……っていうか、します!
実力派のメンバーから繰り出される卓越したバンドアンサンブルと、逞しくも艶っぽいボーカルを武器に、ライブシーンを席巻し続けるNothing’s Carved In Stone。そんな彼らが、8月6日にニューアルバム『Strangers In Heaven』をリリースする。ライブでは確実にテンションを上げてくれるであろうロックチューンはもちろんだが、映像が浮かぶような叙情的な楽曲など、彼らの懐の深さを改めて実証する作品となった。今回はボーカルの村松拓とギターの生形真一のふたりに、アルバムについてじっくり語ってもらった。
【取材・文:海江敦士】
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■ライブ情報
Nothing’s Carved In Stone Tour 2014Strangers In Heaven Tour
2014/08/20(水)新代田 FEVER
2014/08/26(火)奈良 NEVERLAND
2014/08/27(水)福井 CHOP
2014/09/10(水)石巻 BLUE RESISTANCE
2014/09/12(金)青森 Quarter
2014/09/14(日)札幌 ペニーレーン24
2014/09/15(月祝)旭川 CASINO DRIVE
2014/09/18(木)水戸 LIGHT HOUSE
2014/09/19(金)仙台 Rensa
2014/09/21(日)新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
2014/09/22(月)長野 CLUB JUNK BOX
2014/09/27(土)名古屋 DIAMOND HALL
2014/09/28(日)浜松 Live House 窓枠
2014/09/30(火)千葉 LOOK
2014/10/01(水)HEAVEN’S ROCK Kumagaya VJ-1
2014/10/08(水)周南 TIKI-TA
2014/10/10(金)広島 CLUB QUATTRO
2014/10/12(日)熊本 DRUM Be-9B.9 V1
2014/10/13(月・祝)福岡 DRUM LOGOS
2014/10/15(水)宮崎 SR BOX
2014/10/18(土)高松 MONSTER
2014/10/24(金)Zepp Tokyo
2014/10/25(土)Zepp Namba
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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