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【女性限定DAY】女性限定ライヴ、男性限定ライヴを行ったねごと。両日をレポ

ねごと | 2012.01.23

 2010年の初音源リリース以降、マイペースながらも、精力的にライヴ活動を展開したねごと。2011年は、ファーストフルアルバム『ex Negoto』のリリースもあり、全国ツアー、フェス、イベント、自主企画イベント、そしてワンマンライヴと、まさにライヴ三昧の1年となった。そんな彼女たちの1年を物語り、そして次への展開を期待させるライヴが、12月16日、17日の2日間に渡り、Shibuya WWWで行われた。「お口ポカーンフェス?! 番外編~サンタさんも抜け殻~」と題されたこのライヴは、1日目が女性客オンリー、2日目が男性客オンリーという形式。このスタイルは、彼女たちにとっても、初の試みであり、この2日間で、バンドとしてどんな異なった空気を作りあげるのか、じつに楽しみであった。

 1日目。12月16日。女性オンリー。まずは栗コーダーカルテットが登場。ほとんどが“栗コーダーのライヴを見るのが初めて”という観客ばかりの中で、ユーモアたっぷりのMCを挟み、時には楽器や楽曲の説明をしながら、会場の雰囲気を栗コーダー色に染め上げていく。牧歌的でほっこりするリコーダーやギターの音色に、観客もリラックスしながらも、しっかり耳を傾けていた。ねごとのメンバーから請われ、2011年3月に対バンが予定されていた栗コーダーカルテット。震災の影響で公演が延期になり、延期公演ではスケジュールが合わず……と、なかなか対バンが実現しなかったが、この日、ようやく満願成就。ねごとのメンバーもフロアの後ろに現れ、曲に合わせて頭をゆらゆら揺らしてリズムをとったりしながら、嬉しそうに栗コーダーカルテットのステージを堪能していた。

 栗コーダーカルテットのステージが終わると、一旦明るくなる会場。その会場が再び、スッと暗くなった。客席から、メンバー達の名前を呼ぶ、黄色い声が飛ぶ。SEの曲に合わせて、観客が一斉に手を叩く。拍手の音もいつもと違う。音は小さいけど弾んでいて、スキップするようなクラップだ。その歓声の中、メンバーが出てきてスタンバイする。薄闇の中、4人が視線を合わせる。ドラムスの小夜子が小さくリズムを刻み、声を上げる。「One、Two! One ,Two! さん、しっ!」。ボーカル&キーボードの幸子の指が、鍵盤の上で勢いよく跳ねる。佑のベースが前に走りだす。その後を追いかけるように瑞紀の表情豊かなギターが優雅にフロアに降り注ぐ。
オープニングを飾ったのは、コケティッシュなキーボードが印象的なアップチューン「彗星シロップ」。そして「皆さんと宇宙に行きたいと思います」という幸子の紹介を受け「ループ」へ。イントロ最初のベースのフレーズが響くと、客席から歓声があがった。幸子に合わせ、客席前方の女の子達がジャンプ。サビでコーラスをとる瑞紀。佑もベースを弾きながら一緒に歌っている。小夜子は頭を振りながらシャープなリズムを叩き出す。首をのばすようにして歌う幸子。ステージ上も客席も、全員、笑顔だ。
エンディングでは、ギターの瑞紀とベースの佑が、同じタイミングで状態をブーンとふるアクションを見せた。2曲終わったところで、自己紹介も兼ねたMC。順番にマイクをとるメンバー。リラックスしているのか、いつもよりも饒舌だ。「女の子だと、なんかいろいろいっぱいしゃべれるね」なんて、本音(?)もポロリ。最後は幸子が締めくくった。「本当に来てくれてありがとうございます。花の金曜日……花金だけど、今日はねごととデートで、最後まで楽しんで行ってください」この言葉に、客席から「デート最高?」という声が飛んだ。続くミディアムチューン「ワンダーワールド」では、メンバーそれぞれが奏でる楽器の音色の表情の豊かさ、ふくよかさに驚く。女性オンリーという環境が、メンバーをリラックスさせ、その効果が伸び伸びとした演奏につながり、音色になって表れたのかもしれない。

 ライヴは終盤へ向かう。ストレートな疾走感が刹那的に響く「季節」。途中の♪ ララライ、ララライ、ルルー ♪ というフレーズに合わせて歌う観客。間奏では、ブレイクに合わせ、幸子の左手が、空中で綺麗に弧を描いた。「今日皆さんがいい夢を見れますように」と「ふわりのこと」を披露した後、一旦ステージを後にした4人。しばらくすると、ステージ上にサンタが表れた。サンタの正体は、なんとドラムスの小夜子。大きな白い袋から次々とプレゼント(お菓子)を出し、客席に放るサンタに、女の子達、大喜び。続いて幸子、瑞紀、佑が登場。サンタの帽子を被ったその姿に、客席から、似合う?の、黄色い声。その声に笑顔で応えるメンバー達。客席をバックに記念撮影をした後、2012年の予定をいち早く伝える重大発表へ。
この重大発表を受け、新曲「sharp ♯」を披露。ストレートなビートが新鮮な、疾走感あふれるアップナンバー。しかしながら、いきなり浮遊感あるコーラスが入ったり、1番と2番で演奏のアプローチがまったく異なったりと、ねごとらしさもしっかりと堪能できる1曲だった。「カロン」で女の子達を楽しそうにバウンドさせ、最後は「インストゥルメンタル」。「ありがとうございました、ねごとでした」と、大きな拍手を客席に送りながらステージを後にした幸子。瑞紀と佑は、客席に何枚もピックを投げ笑顔で背中を向けた。ステージ後方からステージ前に出てきた小夜子は「ドラムスティック、ちょーだーい!」という観客のリクエスト、ドラムセット前に戻り、スティックを持って再びステージ前へ。観客にスティックを手渡し、こんな言葉を残して背中を向けた。

「ブログ見てねー!(記念撮影した)写真、載っけるからー!」

 ねごと、そして彼女達のライヴ。その大きな魅力のひとつが、ギャップだ。楽曲のバリエーションや、オルタネイティヴでハードなサウンドとハイトーンでクリアなボーカルなど、そのギャップは実に多種多様でそこが面白さでもあるのだが、いちばんわかりやすいのが、メンバーの見た目&キャラと演奏スタイルとのギャップだろう。髪を振り乱し演奏に没頭する彼女達の鬼気迫る様子は、ライヴという空間に必要な緊張感や疾走感につながっているし、だからねごとが好きだ、というファンも多い。もちろんこの日も、そのギャップは健在だった。しかしながら、この日のライヴで感じたのは、彼女達が緊張感や疾走感だけのバンドではないという事。MCでの饒舌さや、そこから感じられるガールズバンドならではの、いい意味でのかしましさが、じつは楽曲の面白さのひとつになっている。
 決して主張が強いわけではないが、それぞれが個性的で、じつは賑やか。曲調の幅はもちろん、1曲の中でもくるくると表情を変える楽曲は、彼女達が本来持っている個性を、きちんと楽曲という世界感に落とし込んだ結果と言えるのではなかろうか。
女性オンリーのこの日。リラックスして4人が伸び伸びと演奏できたライヴは、彼女達がそれぞれの個性を思う存分発揮する、そんな空間になったように思う。
このメンバーの個性が、きっと、これからのねごとワールドを広げて行く。


【取材・文 伊藤亜希】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル ねごと

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リリース情報

ex Negoto

ex Negoto

2011年07月13日

KRE

1. サイダーの海
2. ループ
3. カロン
4. ビーサイド
5. メルシールー
6. ふわりのこと
7. 七夕
8. week...end
9. 季節
10. AO
11. 揺れる
12. インストゥルメンタル

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セットリスト

  1. 彗星シロップ
  2. ループ
  3. ワンダーワールド
  4. 七夕
  5. 揺れる
  6. メルシールー
  7. 季節
  8. week...end
  9. ふわりのこと
  10. sharp ♯(新曲)
  11. カロン
  12. インストゥルメンタル

お知らせ

■ライブ情報
お口ポカーン?! 学生限定ツアー -end of studenTOUR-
2012/04/06(金)八王子 RIPS
2012/04/08(日)神戸 太陽と虎
2012/04/15(日)福岡 DRUM SON
2012/04/21(土)札幌 cube garden

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